(※写真はイメージです/PIXTA)

ビジネスで成功を収めた経営者ほど陥りやすいのが、「本業の成功体験」がもたらす過信という落とし穴です。いままで味方だったものが、 突然牙を剥くことも決して珍しくありません。本記事では独立系資産運用アドバイザー(IFA)の亀井岬氏がBさんの事例とともに注意すべき資産運用の盲点を明らかにします。

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ビジネスで成功した経営者が踏み込んだ「次の一歩」

「ここまで順調にきた。為替さえ、味方につければいい」そう思っていた――ほんの数ヵ月前までは。

 

Bさん(52歳)は、地方都市で精密部品を製造・輸出する会社を営む経営者。日本製品の品質にこだわり続け、アジア・北米への輸出を足掛かりに、着実にビジネスを拡大してきました。この数年は円安の追い風もあり、輸出利益は大きく膨らんでいます。法人の業績は過去最高、売上・利益ともに2桁成長を記録。Bさん自身の年収は3,000万円程度。法人資産も個人資産も潤沢になっていました。

 

「いまこそ、個人でも攻めに出るタイミングだ」Bさんは、これまであくまで“経営者”として見ていた為替市場に、“個人投資家”として足を踏み入れることに。選んだのは、自分にとって馴染み深い通貨、つまり「円とドル」。

 

「本業で稼いだ経験を活かせる。為替は熟知しているつもりだ」――そう信じて、FXに資金を投入。レバレッジをかけてのドル買いポジション。現在の生活を豊かにすること、老後に向けた資産形成を行うことを目的とした個人投資家としての一歩でした。

 

ですが、結果は散々でした。アメリカが突如導入した“関税政策”。これにより輸出環境は一変。Bさんの会社が主力としていた海外向けの受注は激減し、売上高は大幅に下方修正せざるを得ない状況となりました。業績悪化によって法人収益は急減。役員報酬を大きく減額する決断を迫られます。

 

そして追い討ちをかけるように、市場は“円高”に大きく振れ……。本業では取引急減で法人の利益が削られ、個人ではレバレッジをかけたFX取引で想定以上の損失が膨らんでいきます。

 

「自分の強みだと思っていた“為替感覚”が、逆に牙を剥いた」

 

Bさんは、自らの決断が「法人と個人、同時に為替リスクを負う」という構造的な失敗であったことにようやく気づきました。このとき、Bさんの心に残っていたのは、FXのチャートでも、法人決算書でもありません。「知っている領域だからこそ、思考停止していたのかもしれない」――そんな、静かな悔恨でした。

 

このままでは老後に対しても不安しかない、とBさんは狼狽します。

 

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