今回は、銀行は融資判断で「債務超過」をどう見ているかを紹介します。※本連載では、現場での実務経験豊富な経営コンサルタントである著者が、銀行交渉の成功事例、融資を受けるために知っておきたい銀行の内部事情などを紹介します。

債務超過なら、それを解消できる期間が重要に

銀行の融資担当者には、審査にあたって見るべき財務のポイントがあります。銀行マンを対象にした、融資実務のマニュアル本などを読むと、そのチェックポイントが見えてきます。

 

②債務超過解消期間は何年か?

たとえば、貸借対照表を見る際には、「在庫」「借入金」「自己資本」の3点をまず見るべし、とあります。

 

なかでも、「自己資本」については、債務超過になっていないかどうかが、最初のチェックポイントです。要は、純資産合計が、マイナスになっていないかどうか、ということですね。

 

そこで、債務超過の場合、「債務超過解消期間は何年か?」というチェックが出てきます。

 

「債務超過解消期間」とは、あまり聞き慣れない言葉です。単年度で債務超過が発生している場合、例年の営業利益を今後確保できたなら、債務超過を何年で解消できると見込まれるか、というものです。

 

〇 正常先は、1年以内

△ 要注意先は、3年以内

▲ 破綻懸念先は、5年超

 

と、あります。

 

例えば、土地売却や高額退職金などで大きな損が出て、瞬間的に債務超過になったとします。しかし、1年以内に債務超過が解消され、純資産合計がプラスに転じると見込まれるなら、正常先と判断せよ、ということです。

銀行は「回収できるかどうか」で融資判断

つまり、債務超過になった理由と解消見込みをチェックせよ、ということです。融資を回収できる見こみがあるか、なのです。

 

なので、そもそも債務超過が続いている、となると、要注意先か破綻懸念先とみなされます。

 

なのに、銀行融資を受け続けている、という場合があります。とすれば、別の要素で回収見込みを立てている、ということなのです。おそらく、個人所有の何らかの資産ですね。個人保証さえとっておけば、その資産で担保できる、と、読んでいるのです。

 

意図的に損を吐き出し純資産を小さくする。それはそれで有効です。が、銀行融資を受けているのなら、債務超過の状態にするのは、やはり避けたいのです。その後1年間に、何が起こるかわからないのですから。

 

参考図書:『わかりやすい融資実務マニュアル』(商事法務)

著者:黒木正人

本連載は、株式会社アイ・シー・オーコンサルティングの代表取締役・古山喜章氏のブログ『ICO 経営道場』から抜粋・再編集したものです。その後の税制改正等、最新の内容には対応していない可能性もございますので、あらかじめご了承ください。ブログはこちらから⇒http://icoconsul.cocolog-nifty.com/blog/

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