遺族の落胆「これが日本の公的機関だよ…」 無価値になった祖父の家、「市に寄付したい」と訴えた先。行政からの唖然の回答

遺族の落胆「これが日本の公的機関だよ…」 無価値になった祖父の家、「市に寄付したい」と訴えた先。行政からの唖然の回答
(※写真はイメージです/PIXTA)

負動産の処分には高額な費用がかかる場合があります。寄付も難しく、放置すれば将来の負担になります。早めの対策が重要ですが、道のりは平坦ではありません。フリーライター・高殿円氏の著書、『私の実家が売れません!』(エクスナレッジ)より、負動産の処分に奮闘する家族の葛藤をみていきましょう。

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売れない築75年の祖父の家、市に寄付しようとすると…

ただでいいからもらってほしい。人は“負動産”を前にして必ずこう考えることでしょう。例に漏れず我々もそう思いました。

 

「そうだ、市に寄付しよう」

 

市の暴挙によって無価値になった祖父の家を市に寄付するなんて、孔明の罠としか思えません。が、しかしそうするしかない。我々は、もう、この家を一刻も早く手放したいのだ!! この接道義務を満たしていない再建地不可物件、地獄の“負動産”を。

 

孔明の罠
予期外かつ巧妙な罠など、疑心暗鬼を誘う仕掛けを指す。「孔明」は諸葛孔明で、台詞は横山光輝のマンガ『三国志』で用いられた。

 

もともとこの家に一番愛着があり、ただで手放すことに難色を示していた伯父は、それ以降も市に接道義務に違反しているのは市のせいなのだからどうにかしてほしいと何度も掛け合ったようです。が、

 

「無理ですね」

 

「そんな……」

 

絶望する伯父。いや、伯父も父も何も悪いことしていないのに。

 

じゃあせめて市に寄付するので無料で引き取ってほしいと訴えても、

 

「寄付は受け付けていません」

 

日本よ、これが日本の公的機関だよ。私がもしありあまる財力を有し(以下略)、時間さえあれば議員さんを紹介してもらい、あらゆる権力のコネで外堀を埋めてから交渉ぐらいしただろうがここはなにせ地の利がない知らん土地! 私自身にもなんの愛着もない。(実際息子である父もそうらしい)。そこまで自分の信用リソースを割いてまでやりたくない。

売れないなら、貸せばいいじゃん

というわけで、寄付も断られた地獄の負動産。どうするどうなる。どうしよう。

 

「そうだ。売れないなら、貸せばいいじゃん」

 

安易な人間の安易な考えのように思えますが、実際どうやっても手放せないならせめて運用するしかありません。

 

運用! すなわち賃貸に出すこと。1ヵ月1万でも2万でもいい。固定資産税ぶんだけでも入ってくれば、売れない地獄の再建築不可物件でもどうにかなる。……かもしれない。そうだ運用しよう。いまはやりの負動産投資だ。この家が売れないのはもう事実なんだから。

 

運用! すなわち賃貸に出すこと
賃貸として所有している物件を貸し出し、家賃収入を得て不動産運用をすること。

 

出所:高殿円著『私の実家が売れません!』(エクスナレッジ)
[図表1]土地の運用 出所:高殿円著『私の実家が売れません!』(エクスナレッジ)

 

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本連載は、高殿円氏の著書、『私の実家が売れません!』(エクスナレッジ)から一部を抜粋し、実家じまいの実情について詳しくご紹介します。

私の実家が売れません!

私の実家が売れません!

高殿 円

エクスナレッジ

郊外築75年、大量のガラクタ、恐怖の再建築不可物件……。 残された実家は超問題だらけ!! 笑いと涙、前代未聞の実家じまい本! 維持費に相続手続き、片付けに親族問題、税金対策に売却まで、 いま話題の”実家じまい”…

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