ゴールドオンライン新書最新刊、Amazonにて好評発売中!
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【基本編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
『富裕層が知っておきたい世界の税制【カリブ海、欧州編】』
矢内一好 (著)+ゴールドオンライン (編集)
『司法書士が全部教える 「一人一法人」時代の会社の作り方【実践編】』
加陽麻里布(著)+ゴールドオンライン (編集)
シリーズ既刊本も好評発売中 → 紹介ページはコチラ!
立ちはだかる「仏壇」の壁
「仏壇がありますね」
「そうですね、でかいのが」
ウワサには聞いて知っていたが、仏壇を処分するためには“仏壇じまい”が必要、つまり仏壇屋さんに来て貰わねばならず、お値段は10万からだという。
「じゅ、10万!?」
「仏壇処理だけに10万!?」
いっそ、とち狂った私が般若心経唱えながらマキタのチェーンソーで破壊してやろうかと動転するぐらいにお高い。
マキタのチェーンソー
世界のシェア第2位を誇る総合電動工具メーカー「マキタ」のチェーンソーのこと。本格工具メーカーとして、性能に定評があり、家庭用として掃除機なども普及している。
「仏壇が大きいんで」
「ああ、そうですよね。うう、仏壇がでかいつらい。実家の仏壇って何でこんなにでかいんだ」
でかいのは仏壇だけではない。なんせ平成初期から時を止めている家。もっといえば、真ん中の伯父は家がないくらい貧乏だったので、生活用品は祖父が使っていたものをそのまま利用していたらしく、家電もぜんぶ昭和。冷蔵庫はナショナル。でかい。洗濯機はサンヨー、二層式。電気代をもりもり食う給湯ポットは象印。なんで三つもあるんだ。いや象印はすばらしいメーカーでいまもご健在ですが。
ナショナル/サンヨー
今はもうない家電メーカー。
もうだめだ…やる気を失う費用の高さ
窓に乱暴に打ち付けられた柱にとってつけた死んだ給湯器。茶色くて巨大なエアコン。四方八方ヤニをすいまくっている人の肺の色みたいな土壁。ふよふよしている畳の間。独特の昭和の臭いを放つ謎のビニール製キッチンの床。なんでオレンジ色が基調なの?昭和なの?(昭和です)。死に絶えた習慣おばあちゃんの三面鏡。暴力的な奥行きの和箪笥!それらすべて片付けるための費用は、
「80万です」
ご丁寧にお帰りいただいた。はい次の業者。
「うーん、50万ですかね」
ここから数社と話し合ってみたのだが、どんなに頑張っても40万円以下にはならなかった。というのも、あまりにもゴミの数が多すぎること。二階の和箪笥を階段で下ろすのが難しいため破砕しなければならないこと。家電はリサイクルセンターに持っていけないくらい昭和なので、完全に処理費が別途かかること。そしてゴミの量が多すぎて一日では終わらないため。
40万。なかなかの金額である。ゼロ円でも売れないし寄付もできないボロ屋に40万かける意味があるのか。それくらいなら、これから固定資産税を払って放置したほうがましではないのか。
「もうだめだ」
ここにきて完全に伯父はやる気を失っていた。おそらく40万円の処分費の半額を出してくれと言ってもなんだかんだとはぐらかされて逃げられる雰囲気だった。まあ気持ちはわかる。だって賃貸に出そうとすると、それだけでは済まない。水道も直さないといけないし、ガスは新しい給湯器設置だけで20万。風呂や排水の見直しや電気工事。もちろん雨漏りがないかどうかの点検などなど、100万近くかかるかも。そうなってくると、もうこのままなかったことにしたい、そう考えても仕方のないことだ。
100万近くかかるかも
一般的に賃貸前のリフォームでは約100万円以上が相場。本書ではゴミ処理40万円、水道修理費推定1〜5万円、ガス給湯器設置20万円、雨漏り点検(目視)の相場は3万円以上、もし発覚して排水管工事が発生すると40〜60万円。ゆうに100万円を超えてくることがわかる。

