(※写真はイメージです/PIXTA)

修繕費が嵩んでキャッシュフローがマイナスに……。不動産投資でよくある悩みの解決策とは? 本記事では、修繕費の会計処理から資金繰りの改善策まで、MK Real Estate 税理士事務所の、元国税調査官で自らも不動産投資を行っている川口誠税理士が実践的なアドバイスを伝授します。

【関連記事】

築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】

修繕費と資本的支出の区分

すべてが修繕費として経費や費用に計上することができるわけでなく、資本的支出に該当する場合には減価償却資産として資産計上します。では、どういった場合に資本的支出に該当するのでしょうか。

 

法令には、資本的支出は「使用可期間を延長させる」、あるいは「資産の価額を増加させる」と規定されていますが、その判断は通達や裁決等によって行います。通達には、修繕費は「通常の維持管理のため」のもの、資本的支出は「価値を高め、耐久性を増すため」のものと記載されています。いずれも概念的ですが、基本的な考え方です。さらに、通達には修繕費や資本的支出の例が挙げられており、物理的になにかを設置したり、用途を変更したりすると資本的支出に該当してきます。

 

実務では、まず修繕費の金額が20万円未満であると修繕費として処理します。20万円以上である場合には、先ほどの基本的な考え方により、修繕費か資本的支出かを判断する必要が出てきます。それでも判断することができないときは、修繕費の金額が60万円未満であると修繕費として処理します。詳細は国税庁が作成しているフロー図がわかりやすいので利用してみるとよいでしょう。

 

[図表1]修繕費と資本的支出の区分
[図表1]修繕費と資本的支出の区分出典:国税庁「修繕費と資本的支出の区分(フロー図)」※2

 

修繕費と資本的支出の区分では、これまで行われた裁決も参考になります。

 

[図表2]修繕費と資本的支出の区分に関係する判例
[図表2]修繕費と資本的支出の区分に関係する判例

 

その他の税務上の注意点としては、フロー図の先頭にも記載されていますが、修理改良等のための支出という前提条件があるため、エアコンや給湯器等そのものを取り換えると修繕費に該当しないということです。固定資産を廃棄して新たに固定資産を取得したものと考えます。ただし、金額が30万円未満であることが多く、青色申告者は少額減価償却資産として経費や費用として処理することができます。

 

また、1つの修繕工事で金額が大きい場合でも、見積書の明細を確認すると、工事がわかれていたり、少額減価償却資産が入っていたりすることがあるので、必ず明細を確認するようにしてください。

 

参考

※1 民間賃貸住宅の 計画修繕 ガイドブック

https://www.mlit.go.jp/common/001231406.pdf

 

※2  No.1379 修繕費とならないものの判定

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/1379.htm

 

 

川口 誠

MK Real Estate 税理士事務所 税理士

税理士

 

【関連記事】

築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】

本記事は『アパート経営オンライン』内記事を一部抜粋、再編集したものです。

カインドネスシリーズを展開するハウスリンクホームの「資料請求」詳細はこちらです
川柳コンテストの詳細はコチラです アパート経営オンラインはこちらです。 富裕層のためのセミナー情報、詳細はこちらです 富裕層のための会員組織「カメハメハ倶楽部」の詳細はこちらです 不動産小口化商品の情報サイト「不動産小口化商品ナビ」はこちらです 特設サイト「社長・院長のためのDXナビ」はこちらです オリックス銀行が展開する不動産投資情報サイト「manabu不動産投資」はこちらです 一人でも多くの読者に学びの場を提供する情報サイト「話題の本.com」はこちらです THE GOLD ONLINEへの広告掲載について、詳細はこちらです

人気記事ランキング

  • デイリー
  • 週間
  • 月間

メルマガ会員登録者の
ご案内

メルマガ会員限定記事をお読みいただける他、新着記事の一覧をメールで配信。カメハメハ倶楽部主催の各種セミナー案内等、知的武装をし、行動するための情報を厳選してお届けします。

メルマガ登録