築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】
キャッシュフローが修繕費によってマイナスにならないようにするには?
区分マンションなどは家賃収入から修繕積立金が自動的に差し引かれますが、アパートオーナーは自ら修繕資金を貯めていく必要があります。可能な限りお金を貯めて、いつ修繕が発生してもいいように準備しておきます。物件購入時に自己資金をすべて頭金として利用するのではなく、手元に残しておくと、購入から間もない資金不足の状態でも修繕に対応することができるでしょう。併せて、融資返済期間を長くするなどして家賃収入から手元にお金を残すようにして貯めていきます。
筆者は、小規模なアパートであれば大規模修繕の資金として200~300万円を最低限用意しています。それくらいの資金があると気持ち的にも安心です。国土交通省が発行している「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」※1では、アパートの築年数とともにどれくらいの修繕費用が必要になるかを試算していますので、参考にしてみてください。
また、一時のキャッシュアウトが生じないように、大規模修繕費用は融資を組むことによって支払いを遅らせることができます。10年程度融資期間の取れる、事業性の資金使途に対応したリフォームローン等を選択肢として検討しましょう。
修繕費を抑えるための予防策
先日、筆者が保有しているアパートで退去時のリフォームに際し、業者から「リフォームに合わせて電気を交換してもらえれば割安で請け負います」という提案がありました。特に電気が壊れているわけではなく、おしゃれになるということでしたので、無駄な出費であると判断し、断りました。
しかし当然ながら賃貸経営には投資という側面もあり、付加価値のある修繕まで行うことが投資の効果に結び付く場合もあります。
トイレ、お風呂、キッチン等の設備を必要最低限使えるように維持する修繕は、入居者が日常生活を送るためには必須となりますが、それ以外の部分の修繕については、費用対効果を総合的に判断し、検討しましょう。
また、 修繕費の中でも大きな費用は大規模修繕費用になります。築年数が経っている物件を購入する場合には、大規模修繕が終わったあとの物件を買うことも選択肢の一つです。
人間の体と同じように、物件も定期的にメンテナンスを行う必要があり、そんな物件は長持ちします。ただし、そのような物件は往々にして販売価格に修繕費が盛り込まれており、利回りが低くなっていることも配慮してください。長期で保有していくのであれば、買ったあとの物件を定期的にメンテナンスしていくことも大切です。定期的にメンテナンスを行うことによって、大きな修繕費の出費を抑えることにつながります。
また、修繕は物件ごとに生じるので、修繕が当面生じない新築物件を不動産投資のポートフォリオに組み込むことで修繕費用のリスクを分散させることが可能です。

