(画像はイメージです/PIXTA)

患者さんの自宅に出向き診療を行うクリニックにおいて、看護師単独で特定の診療補助行為ができる「特定看護師」は、医療サービス向上のカギを握る存在の一つです。本記事では、医療法人あい友会理事長の野末睦医師が、特定看護師と特定看護師制度をめぐる医療機関の現状について詳しく解説します。

特定看護師とは

訪問診療クリニックを運営していくうえで、より行き届いた医療を提供するのに重要なのが、特定看護師の存在です。

 

「特定行為研修」を修了した特定看護師は、手順書と呼ばれる医師の指示が記される文書または電磁的記録が適用される条件下で、医師がそばにいなくともタイムリーに下記[図表1]に記される、38の特定行為を行うことができます。

 

(特定看護師になるために受講する「特定行為研修」は国が実施する研修制度です。特定看護師という資格が存在する訳ではありません。)

 

●特定行為は、診療の補助であって、看護師が行う医療行為のうち、手順書により行う場合には、実践的な理解力、  思考力および判断力、高度かつ専門的な知識・技能が特に必要とされるものとして定められた38の行為です。 ●38の特定行為は、21の特定行為区分に整理されており、特定行為区分を最小単位として研修が行われます。
[図表1]38の特定行為(出典:これからの医療を支える
看護師の特定行為研修制度 令和3年5月改訂版|厚生労働省)
●特定行為は、診療の補助であって、看護師が行う医療行為のうち、手順書により行う場合には、実践的な理解力、
 思考力および判断力、高度かつ専門的な知識・技能が特に必要とされるものとして定められた38の行為です。
●38の特定行為は、21の特定行為区分に整理されており、特定行為区分を最小単位として研修が行われます。

 

たとえば、呼吸器(気道確保に係るもの)関連の区分では気管カニューレの交換。栄養に係るカテーテル管理(末梢留置型中心静脈注射用カテーテル管理)関連の区分では、末梢留置型中心静脈注射用カテーテルの挿入などが含まれます。下記[図表2]のフローチャートでの例では、特定看護師は特定行為の前に「医師への症状の報告」と「報告に対する指示出し」を待つ必要がありません。

 

[図表2]特定行為の実施の流れ

 

(出典:これからの医療を支える看護師の特定行為研修制度ご案内 令和3年5月改訂|厚生労働省https://www.mhlw.go.jp/content/10800000/000780300.pdf)

 

これにより、医療サービスの質がどれだけ向上するかは想像に難くないでしょう。現在、あい友会クリニックに所属する看護師・准看護師58人のうち、特定看護師は2人在籍しています。今後はより多くの職員が特定看護師となることを目標にしています。

 

ところが、医療業界全体では「特定看護師は、特定看護師としての活動を、実際に行うべきなのか」という議論があり、医療機関によって考え方は異なります。

 

当クリニックは、特定看護師にどんどん活躍してほしいという考えです。将来的には、医師の同伴なしに患者さん宅でケアするという訪問スタイルを、1つのモデルとして組み込むことを構想しています。一方で、多くの医療機関では看護師が医師への事前報告なしにケアすることを、許可していないというのが現状です。これでは、研修で身につけた知識やスキルを存分に発揮することができず、宝の持ち腐れではないでしょうか。

 

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