認定看護師制度が改正
このように、特定看護師よりも取得のハードルが高い認定看護師資格ですが、従来は特定行為を行うことができませんでした。
たとえば、特定行為研修の在宅・慢性期領域パッケージに含まれる「創傷管理関連」という分野を修めている特定看護師は、医師による手順書があれば単独でも褥瘡や壊死した部分を除去することができます。一方で、在宅ケア分野の認定看護師は除去できず、この部分に大きな矛盾が生じていました。
こうした不条理を解消するため、2017年度以降、認定看護師制度は再構築に向けて検討を重ね、2019年に認定看護師規程が改正されました。既存の認定看護師制度(A課程)は2026年度に現行教育を終了し、2020年度から新しい認定看護師制度(B課程)による教育が実施されています。
新たに設立されたB課程では研修の際に特定行為研修の受講が必須になりましたので、認定看護師課程を修了すれば、特定行為を行うことができます。なお、旧課程で認定看護師となった場合は、新たに特定行為研修の受講が必要となります。
これは両者がスキルと権限を活かして活躍の幅を広げる、大きなチャンスではないでしょうか。
医師免許をもっていれば、医療行為ができます。しかし、ほとんどの医師は特定行為に指定される分野に関して重点的に勉強している訳ではなく、ともすれば現場でも教わっておらず、見様見真似で行っている場合も少なくありません。
しかし、特定看護師・認定特定看護師であれば、特定行為研修で掘り下げて勉強しています。そういったことを鑑みても、特定行為は看護師にどんどん任せていくのが有効と考えます。
また、特定看護師が権限を活かせないもう一つの理由として、患者さん側に「医師がいないのに、看護師がこんなことやっていいの?」という思いを持たれる方がいる、という点が挙げられます。
制度改正をきっかけに真に医療現場が変わるためには
このように、特定看護師や認定看護師は、制度・資格としては存在しつつも、さまざまな要因から制度の普及が妨げられてきました。これから真に変わっていくためには、医療機関の長などが「私が責任を持つからどんどんやろう。患者さんから疑問の声が出たら私が説得しに行くよ」というような姿勢をみせなければ、制度はなかなか広がらないと思います。
これから特定看護師を診療に導入されることを検討している方は、ぜひ積極的に導入してほしいですが、単に人を雇うだけではうまくいきません。看護師側も患者さん側も安心できる心理的サポートに加え、特定看護師を目指しているスタッフへの、金銭・福利厚生の面からのサポート体制を整える必要があります。
(参考:日本看護協会 認定看護師の概要について|厚生労働省ウェブサイトhttps://www.mhlw.go.jp/stf/shingi/2r98520000010h85-att/2r98520000010hjl.pdf
認定看護師|日本看護協会
https://www.nurse.or.jp/nursing/qualification/vision/cn/index.html)
野末 睦
医師、医療法人 あい友会 理事長
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