(画像はイメージです/PIXTA)

患者さんの自宅に出向き診療を行うクリニックにおいて、看護師単独で特定の診療補助行為ができる「特定看護師」は、医療サービス向上のカギを握る存在の一つです。本記事では、医療法人あい友会理事長の野末睦医師が、特定看護師と特定看護師制度をめぐる医療機関の現状について詳しく解説します。

特定看護師のメリットを100%活かしきれていない現状が

これは、当法人に所属する、自治医科大学の看護師特定行為研修センターのプログラムを修了した看護師に聞いた話です。修了生が年に一度集まり、近況を報告し合う会があるそうで、自分が行っている業務について報告すると、他の医療機関の修了生から、とても羨ましがられるといいます。

 

現在のところ、当法人においても医師が同伴しないという訪問スタイルはなく、特定看護師のメリットを100%活かしきれていない状況です。にもかかわらず、修了生の間ではトップランナーと見られるほど、当法人で特定看護師に任せる業務範囲は相対的に広いといいます。

 

なぜ、できるはずの業務を任されないのか? これにはいくつかの理由がありますが、一つは所属している医療機関、組織の上層部の考え方が大きいように感じます。

特定看護師と認定看護師

特定看護師になるためには、在宅・慢性期の特定行為区分をすべて修める場合で、必要な研修時間数はおよそ400時間、期間は9ヵ月間前後で修了するプログラムが多いです。また、対面授業や実習も必要ですが、教育機関によってはeラーニングが可能なため、就労しながら研修を受けられます。費用は約40万~100万円。「教育訓練給付制度」や「人材開発支援助成金」などの給付制度が利用できます。

 

一方で、「特定の看護分野において熟練した技術と知識を持つ看護師」として認められた認定看護師というものも存在します。認定看護師は「認定看護分野」ごとに日本看護協会が認定する資格です。5年以上の実践経験があり、協会が定める600時間以上の認定看護師教育を修め、認定看護師認定審査に合格することで取得できます。

 

たとえば在宅ケア分野の認定看護師になるには、約800時間の課程を修了するため、約1年間学校に通う必要があります。そのため、多くの場合は仕事を休まざるを得ないうえ、教育機関の数が少なく、開講している教育機関が遠方の場合は近くにマンスリーマンションを借りたり、引っ越したりする必要があります。一般的に、費用は約100万円以上かかります。

 

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