4. 感情面の対策1:分け方を考え、分けられるようにする
財産の多い少ないにかかわらず、相続になれば財産継承の手続きをしなければなりません。ところが相続になっても遺産分割の話し合いがつかないばかりに、実質的な財産分与ができず、何年も不動産の名義が亡くなった方のままになって困っているというご相談が絶えません。遺言がないため相続人で分割協議をしなければいけないところ、諸事情で頓挫しているケースが多いようです。
事情は個々に違いますが、いくつか共通項をまとめると、複数の相続人がいるのに不動産は自宅1ヶ所で分けられない場合や、賃貸物件で収益があるものと自宅のように収益がないもので価値が違うため分けられないことが多いようです。
不動産を共有してしまうこともよくあるケースですが、将来的に問題に発展しやすく、お勧めしません。不動産1ヶ所では物理的に分けられないことの方が多いため、相続で分けられるようにしておくことが大切です。
たとえば、特定の相続人に不動産を相続させるならば、他の相続人にはそれに見合う動産を用意することでバランスを取ります。なかには遺言で不動産を売却して分けるようにとしている方もあります。
不動産の数がある場合でも、誰がどこを相続するかを指定しておかないと話し合いがつかないこともよくあります。節税するよりもまずは分けられることが大事だといえますので、その準備をしておくことが必要です。
4.感情面の対策2:分け方をもとに、遺言書をつくる
次の世代に継承してもらうためには、上記で決めた分け方を指定する遺言書が必要です。ただ決めても意思を伝えておかなければ、残された人に迷いや欲を持たせるものです。
不動産や動産を巡り親族がもめるとすれば、相続の価値は半減することになります。相続人が迷わず、争わないための羅針盤になる「遺言書」を作成し、自分の意思を明確にして残しておくことが不可欠で、その形は「公正証書遺言」が安心です。
遺言書は具体的な財産分与だけでなく、感謝の気持ちを綴ることもできます。残された人達を思いやる愛情にあふれたものであれば、感情的な部分で救われ、生きる勇気を与えられるはずです。
意思を残すことで、家族に有形、無形の財産を残せば、相続の価値があるといえます。
また、相続の手続きは相続人全員で進めますが、窓口となる代表者は1人の方が何事もスムーズにいきます。その代表者を選任しておくことも大切です。
相続ではその家庭の事情があからさまに表に出てきますので、財産のことで争わないような家庭を作っておく、日頃から物よりも大事なものがあることを教えておくことが理想でしょう。が、これが簡単なことなら誰も苦労はしません。相続人は時を経て、次は自分の相続人へと継承させることになります。親の代で揉めたところはまた次も、となりかねませんので、マイナスのDNAを残さないことも財産になるでしょう。
曽根 惠子
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
相続実務士®
株式会社夢相続 代表取締役
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp)認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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