節税対策その1:金融資産を賃貸不動産に
正さんの財産は金融資産が多いため、相続税の評価を下げる目的で、株の一部を解約し、賃貸不動産を購入することをお勧めしました。
まずは3,000万円程度の区分マンションで、すでに賃貸しているオーナーチェンジ物件を少しずつ買っていくことをご提案し、2部屋の購入が実現、相続税は2割程度下がりました。
株を全部解約して、賃貸不動産にし、小規模宅地等の特例を適用するようにすれば相続税は半分程度に下げることができます。
節税対策その2:現金を贈与する
現金を贈与することも節税対策になります。子どもたちが自宅を購入する際に住宅取得資金贈与をしているそうなのですが、まだ金融資産に余裕がある場合、さらに相続人以外にも現金を贈与をしていくことをお勧めしています。
正さんの子どもは3人ですが、長男の子どもが3人、次男の子どもが2人、三男の子どもが1人と、孫は6人います。それぞれの配偶者も合わせると正さんの子ども家族は12人になります。
これからの贈与は、相続になった際には7年間遡って持ち戻しすることになりますので、早めにしていく必要がありますが、相続人の長男、次男、三男を除く配偶者と孫6人に贈与した財産は相続の持ち戻しにはなりませんので、効果的なのです。
節税対策その3:消費も節税になる
正さんの場合、もともとアパート収入があるのですが、さらに金融資産を賃貸不動産にすると家賃収入が入り、現金は増えていくでしょう。そのまま使わずに貯めておくと財産が増え、相続税も増えてしまう結果になりかねません。よって必要なものには適度に使う「消費」も節税対策になります。
正さんご夫婦にご説明させていただいたところ、ちょうど正さんが喜寿を迎える年だということで、喜寿のお祝いとして、子ども家族と一緒にハワイ旅行をすることを計画されました。総勢14人で1週間のハワイ旅行ができ、家族の仲が深まったと話をされていました。また、旅行中に相続対策に取り組んでいることも共有できたそうで、有意義な時間を過ごされたようです。ハワイに旅行に行ったことを知った親戚から「いくら余裕があるといっても贅沢のしすぎでは?」と言われたのですが、家族にとっていい思い出になっただけではなく、相続対策にもなったのでまったく気にならなかったそうです。
上記のような節税対策をもう少し進めてから、分割案を決め、遺言書を作成される予定です。また正さんだけでなく、妻も金融資産が多いため、節税になる不動産対策をご提案し、適度な賃貸物件が見つかり次第、購入するそうです。
正さんのように、夫婦はじめご家族皆で相続対策を進めることは、円満の秘訣です。財産は貯めておくだけでなく、旅行のように「消費」することも効果的な対策になるのです。
