
要介護3の義母の介護…長男の嫁に白羽の矢が立つ
佐々木結子さん(45歳・仮名)。夫と、中学生の長男と、小学生の長女の4人暮らしです。夫婦共働きだから家事分担は平等。「私が料理をつくり、夫が食器を洗い片付ける。私が洗濯物を干せば、たたむのは夫の役目」と、うまい具合に分担できているといいます。周囲からは「よくできた旦那さんね」と褒められることも多いといいますが、不満はたまるばかり。その原因は、近所に住む75歳になる義母。
義実家にひとりで住む義母は、要介護3認定を受けています。脳梗塞の後遺症によりまひがあり、日常生活には基本的にサポートが必要です。当初、介護の多くを事業者にまかせていましたが、「あれをしてほしい」「これをしてほしい」とサービスをプラスしていった結果、毎月の生活費が月15万円の年金を上回ることになったとか。「このままではまずい」と思った結子さんの夫とふたりの義兄弟たち。白羽の矢が立ったのは結子さんでした。
――母さん(義母)の介護をしてくれないか?
結子さんが手を貸す分だけお金が浮く……そういう算段なのは見え見えでした。
――私が介護したらタダなんて「ふざけるな!」と腹が立ちましたけど、家族だし、仕方がないかなと思って、結局引き受けてしまったんですよね
それから結子さんの仕事と介護、そして自分たち家族の家事を両立させる日々が始まりました。介護といっても付きっきりで世話をする必要はなく、「食事に対する不平不満がすごくて。そこだけでもサポートしてくれるとありがたいんだ」と夫と義兄弟のリクエスト。1日1~2時間程度、義実家に通う日々が始まりました。
【「要介護者等」からみた「主な介護者」の続柄別構成割合】
配偶者…22.9%
同居する子…16.2%
事業者…15.7%
別居の家族等…11.8%
同居する子の配偶者…5.4%
同居するその他親族…1.2%
※出所:厚生労働省『令和4年国民生活基礎調査』