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印紙税額を軽減する特例措置
住宅・土地取引等の活性化を図るとともに、景気対策にもつながることから、平成9年4月1日から不動産売買契約書や工事請負契約書については印紙税の軽減措置が適用されています。
平成26年4月1日から令和9年3月31日までのあいだに作成される不動産売買契約書については契約金額が10万円を超えるもの、工事請負契約書契約については契約金額が100万円を超えるものが対象となり、印紙税が軽減されています。
この印紙税の軽減措置は租税特別措置法、一時的な事態に対応するための有効期間を限定した法律であるいわゆる「時限立法」で定められています。しかし、これまで度々延長されてきています。直近ですと、令和6年の税制改正で令和6年4月1日から令和9年3月31日までのあいだが延長されていますので、今後も延長する可能性はあります。
不動産取引の契約書電子化、印紙税のコストカットへ
電子契約を導入している企業の割合は56.3%※となっており、2社のうち1社が利用していることになります。近ごろは、不動産取引の場でも電子契約を見かけるようになってきました。
電子契約のメリットとしては、印紙税がかからないこともありますが、そのほかにもメリットがあります。印刷、郵送、保管に係るコストの削減。さらに、過去の契約書をすぐに検索や閲覧することができるのです。また、リモート環境下で契約を行うことが可能であるため、契約当事者の時間を節約し、契約締結までのリードタイムを短くすることができます。
電子契約に印紙がいらない根拠は、印紙税法の運用ルールである「基本通達」に記載されています。印紙税法では「作成」した課税文書について印紙税の納税義務を負うと規定しています。その規定を受けて、基本通達では「作成」とは用紙等に記載することをいうとしています。電子契約は用紙等に記載しませんので、印紙は不要です。
そのほかにも、印紙税を節約するには、原本を複数作成せずに、コピーやPDFファイルで済ますという方法もあります。買主としては不動産売買契約書の原本が必要になるでしょうが、売主にとっては自分の手元から離れる不動産であり、印紙を貼った原本を作成しない人もいます。
コピーであっても契約の有効性に影響はありません。原本を改ざんしたあとのコピーではないかという問題が、現実問題として起こることはほとんどありませんが、訴訟等になった場合に信用力の点で劣る可能性がゼロではないということは、頭の片隅に入れておきましょう。
また、不動産売買や工事請負の契約締結時に、先ほどの契約金額と印紙税の表を覚えておくと、契約金額を決める際の参考になるでしょう。たとえば、契約金額が1億円を1円でも超えると6万円になりますが、1億円ですと半額の3万円になります。
なお、消費税の課税事業者は、契約金額に消費税が別で表示されていると、税抜金額で印紙税を判定することになります。
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