不動産投資では、さまざまな取引が発生しますが、その際に「印紙税」がかかる場合があります。印紙税が課税されるかどうかは、契約書の内容や記載されている金額によって決まります。また現在では、契約書の電子化により印紙税を節約するという動きも。本記事では、不動産投資における印紙税について、不動産投資と不動産専門の税理士であるMK Real Estate 税理士事務所の川口誠氏が解説します。
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契約書の電子化による不動産投資家への影響
筆者自身、不動産投資を行っていますが、契約書が電子化されても、不動産投資家にはほとんど影響がないと感じています。電子契約を基準に不動産会社を選ぶかといったら、そんなことはありません。この不動産会社となら不動産売買や賃貸管理が上手くいくと思うから契約するわけで、電子契約は結果にすぎないのではないでしょうか。
筆者は不動産売買の契約を結ぶ前には、紙面契約であろうが、電子契約であろうが、契約書と重要事項説明書を事前に取り寄せて、入念に読み、不明点を不動産会社に聞くようにしています。不動産投資家にとって大切なことは、電子契約であったとしても安易に署名せず、契約内容をしっかりと読むことだといえます。
もちろん、印紙税を払わないに越したことはありませんが、不動産投資で生じる登記費用、融資手数料、仲介手数料、不動産取得税等に比べると、印紙税は決して高くありません。むしろ、不動産売買で契約内容を確認せず、不良物件を買ってしまうことの代償のほうがよっぽど高くつきます。
印紙税については廃止すべきといった意見もあります。諸外国では、廃止している国もある一方で、電子契約でも印紙税を負担させている国もあります。今後どうなるかわかりませんが、本記事が不動産投資家の皆様にとって印紙税をより深く知るきっかけになってもらえれば幸いです。
川口 誠氏(MK Real Estate 税理士事務所 税理士)
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MK Real Estate 税理士事務所
税理士
大学院での税務会計の実証研究を通して、理論的に税金をとらえる思考を身につける。
国税局では高度な調査力が必要とされる調査部において、10年以上にわたって上場企業等の税務調査に従事するなど、中小企業から大企業まで100以上の会社の税務調査を行う。
その中で、不動産投資家、資産管理会社の税金対策が上手くいっていない現状を目の当たりにする。どうしたら改善するのかといったノウハウを蓄積するにとどまらず、自らも資産形成としてワンルームやアパートを購入し、不動産投資による節税を実践している。
これまでの経験と知見を生かし、不動産投資家、資産管理会社等の税理士としても活動している。
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