富裕層にも、富裕層を目指す人にも読んでほしい
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「老後資金の不足を投資で増やす」という思考はリスキー
老後資金が足りないから投資で増やそう、と考えている人も多いようですが、それは危険です。ただでさえ老後資金が足りないのに、投資に失敗したら悲惨な老後になってしまいますから。
筆者は投資を否定するものではありません。「老後資金を全額預金で持っているとインフレで目減りするリスクがあるから、むしろ一部を株や外貨で持っておくほうが安全だ」という守りの投資はぜひやるべきだと考えていますし、「余裕資金があるから投資で儲けてリッチな老後を暮らそう」という投資も悪くないと思っています。状況によるということですね。
投資でガツガツ増やそうとするよりも、働いて稼げばリスクなく老後資金を充実させることができます。その点については拙稿『老後資金不足に焦り、ハイリスク投資に走る人の末路…元メガバンカーの経済評論家が「投資の前に実行してほしい」と切実に思う、たったひとつのこと 』で論じたので、本稿では「生活の見直しで出費を抑えよう」という話をしたいと思います。
生活を見直すために、家計簿をつける必要はありません。預金通帳とクレジットカードの利用明細を見れば、大きな支出項目は大体把握できるでしょう。そして、それぞれの支出項目について「本当に必要だろうか?」とゼロベースで検討してみればよいのです。
「安心だから」という理由だけで保険に加入していないか?
日本人は保険が大好きで、「なんとなく安心だから」という理由で多数の保険に加入している人も多いようです。しかし、保険に加入すると保険会社のコストを顧客が負担するわけですから、必要のない保険に加入するのは避けるべきでしょう。
もちろん、自動車を運転するときには保険加入が絶対必要ですし、専業主婦(夫)と乳飲み子を養っている一家の大黒柱は生命保険に加入する必要がありますが、必要性の乏しい保険に加入している人も多いのではないでしょうか。
新入社員に向かって「一人前の社会人になったのだから、生命保険に入らないと!」などと勧誘する人もいるようですが、一人前の社会人だと保険に加入しなければならない、という理屈はありません。むしろ、新入社員のほとんどは生命保険が不要です。新入社員が死んでも、悲しむ人はいるでしょうが、金がなくて路頭に迷う人はいないからです。
退職後の元サラリーマン(男女を問わず、公務員等を含む。以下同様)の多くも、原則、生命保険は不要でしょう。すでに退職金を受け取って多額の金融資産を持っているので、亡くなれば遺族は遺産を相続して路頭に迷う心配はないからです。
医療保険も原則不要でしょう。健康保険には「高額療養費制度」があり、治療費がどれほど高額になっても自己負担額には上限があるからです。
学資保険も原則不要でしょう。子どもが生まれたときに、将来必要となる教育費が予想できるので、そのぶんを貯金しておけばいいからです。保険というのは、万が一の際に巨額の資金が必要だという場合に必要なのであって、必ず必要になる資金なら貯金すればよいのです。無駄に保険会社の費用を負担する必要はありません。
自動車、子どもの習い事は、本当に必要か?
都会に住んでいるなら、自動車は必要でしょうか。自動車を手放して公共交通機関で生活することも考えてみてはどうでしょう。自動車は、買い替え費用等を含めると維持費が結構高いので、かなり贅沢にタクシーを使うとしても自動車を手放した方が安上がりだ、ということもありそうです。
自動車を手放すと、駅まで歩くようになり、健康になるのみならず、スポーツジムの年会費が不要になるかもしれませんよ(笑)。
子どもに数多くの習い事をさせる親を見かけますが、本当に子どもの役に立っているのでしょうか。「自分はちゃんと子育てをしている」という親の自己満足になってはいないでしょうか。
家族構成に合わない、広い家に暮らしていないか?
郊外の大きな家に住んでいる人は、子どもたちが独立したら都心の小さなマンションに引っ越すことも考えてみましょう。暖房光熱費が安くなりますし、掃除も戸締まりも楽になります。暖かいので、冬の夜のトイレで倒れるリスクも減ります。
人口減少社会では、郊外の家は値段が下がっていく可能性があるでしょう。老人ホームの入居資金を得ようと思っても、家が売れなかったら困ります。都心の便利なマンションのほうが売りやすいのではないでしょうか。
利用しないジム、読まない雑誌にお金を払い続けていないか?
以上、大きな支出項目の話をしてきましたが、金額は小さくても自動引き落としになっている支出は要注意です。最近利用していないスポーツジムの年会費、現役時代に読んでいたビジネス雑誌の年間購読料、何枚も加入しているクレジットカードの年会費など。
「面倒だから」と放置していると、これからの長い余生の間、ずっと払い続けることになりかねません。思い切ってこの機会に見直してみてはいかがでしょうか。
本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。
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塚崎 公義
経済評論家
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