「高齢者は、危険な投資を控えめに」のアドバイスを信じた結果…やらかしがちな「最悪のポートフォリオ」とは【経済評論家が解説】

「高齢者は、危険な投資を控えめに」のアドバイスを信じた結果…やらかしがちな「最悪のポートフォリオ」とは【経済評論家が解説】
(※写真はイメージです/PIXTA)

投資の世界では、若者と高齢者のそれぞれが取れるリスクに大きな差があることはよく知られています。失敗を取り戻す時間がない高齢者には「安全資産」の保有が望ましいですが、安全資産の概念は昔と今で大きく異なっている点に注意が必要です。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

「高齢者は危険な投資は控えめにすべき」と言われるが…

若者はリスクのある投資をして失敗しても、懸命に働くなどして取り返す余地がありますが、高齢者は投資の失敗で大切な老後資金を失ってしまうと、取り返すことが難しいでしょう。そこで「高齢者は危険な投資は控えめにすべきだ」と言われます。確かにその通りでしょう。

 

しかし、その後に「だから高齢者は、現金と預金の比率を高めにすべき」と続く場合が多いのは、いただけません。預金はインフレに弱いリスク資産であって、インフレが来ると目減りしてしまう(買える物の量が減ってしまう)からです。バブル崩壊後の長期低迷期、日本経済はデフレだったので、「預金はインフレに弱いリスク資産だ」と言っても読者に響きませんでしたが、最近ようやく納得してくれる読者が増えているようです。

 

今後も、少子高齢化による労働力希少(労働力不足と呼ぶ人が多い)は続くでしょう。そうなれば賃金が上がり、それが売値に転嫁されるので、消費者物価は上昇が続くでしょう。預金金利はインフレ率よりも低いのが普通なので、預金は目減りしていく可能性が高いでしょう。

 

南海トラフ大地震も心配です。南海トラフ大地震が起きれば、復興資材の需要が著増する一方で、工場が倒壊して供給は減るはずです。不足分は輸入すればよいのでしょうが、そうなると輸入代金支払いのためのドル買いが殺到し、ドルが高騰します。ドルが高騰すれば、すべての輸入物価が高騰するでしょう。そうなれば、いくら老後資金の銀行預金を持っていても足りないかもしれません。

高齢者の金融資産、「預金」に偏っているのは心配

「株」や「外貨」は値下がりリスクがあるから持ちたくない、という高齢者は多いようです。また、バブルの頃までは「株に手を出す」などという言葉もあり、「株式投資はバクチであるから、真っ当な人間が手を出すものではない」と考えていた人も多かったでしょう。そうした人が今は高齢者なのですから、彼らが老後資金をすべて銀行預金で持っていても不思議はありません。

 

しかし、銀行預金も株も外貨もリスク資産なのですから、3つをバランスよく持つことが「分散投資」としてリスクを抑えてくれるはずです。「インフレで預金が目減りし、同時に株も外貨も値下がりした」などということが起きる可能性は低いからです。3つの悪いことが同時に起きる可能性だけでも低いのですが、株や外貨がインフレに強い資産であるということを考えれば、一層最悪の事態の可能性は低いでしょう。

 

実際にはどの株を買うか考えるのは大変なので、日本株の投資信託と米国株の投資信託を毎月一定額ずつ買っていく「積み立て投資」が手軽だと思います。どんなウエイトで持つかは、インフレがどれくらい怖いかで決めればよいでしょう。

 

ちなみに筆者はインフレが怖いので、預金の比率を下げて、米国株投信の比率を高めにしています。日本株投信より米国株投信を多くしているのは、南海トラフ大地震に備えるためです。

「年金の受給開始を待つ」という選択肢も

老後資金を使ってしまう、という選択肢もあります。もちろん、浪費するのではありません。生活費として老後資金を使い、年金受け取りの開始時期を遅らせるのです。公的年金は、原則として65歳から支給されますが、受け取り開始時期を先延ばしすると、毎回の支給額が増えるのです。たとえば70歳からの受け取りを選ぶと、毎回の支給額が42%増えます。普通のサラリーマン(サラリーウーマンや公務員等を含む、以下同様)は、年金だけで生活できるようになるのです。

 

公的年金は、どれだけ長生きしても支払ってもらえますし、インフレが来れば原則としてインフレ分だけ支給額が増えます。老後資金のリスクは「長生きしている間にインフレが来て老後資金が底をついてしまう」ことですが、公的年金はそうしたリスクに対する非常に心強い味方なのです。だから、公的年金を大事にしよう、というわけです。

 

以下は余談ですが、せっかく老後資金をたくさん持っていても、使えなければ意味がありません。認知症になり、預金が引き出せなくなったら困るでしょう。そのためには、認知症になる前に家族信託を設定しておく、というのも選択肢のひとつです。関心がある人は専門家に相談してみてもいいでしょう。

 

本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

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塚崎 公義

経済評論家

 

 

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