(※写真はイメージです/PIXTA)

定年退職後に受け取る退職金。多くの人は、これまでの人生の中で見たことのない預貯金残高に舞い上がってしまうのではないでしょうか。しかし、このお金をどのように扱うかで、老後の人生が左右される可能性があるため、十分な注意が必要なのです。経済評論家の塚崎公義氏が解説します。

退職金は「会社からのご褒美」なのか?

多くのサラリーマン(サラリーウーマンや公務員等を含む、以下同様)は、退職時に多額の退職金を受け取ります。これまで手にしたことのない金額を見て舞い上がる人も多いでしょう。

 

「長期にわたって会社に貢献してきた自分に、会社がご褒美をくれたのだ」

 

「それなら、贅沢をしよう。たとえば長年自分を支えてくれた配偶者への感謝として、豪華客船で世界一周旅行をしよう」

 

などと考える人もいるかもしれません。

 

しかし、退職金は老後資金の大切な一部ですから、過度な贅沢は慎むべきでしょう。せいぜい夫婦で温泉旅行へ行って、じっくり老後資金について語り合う、といった程度がよいと思いますよ(笑)。

 

そもそも、退職金を「ご褒美」だと考えるから、舞い上がったり贅沢をしたりするのです。発想を変えてみましょう。「自分の給料は、本当はもっと高かったのだが、会社が強制的に一部を天引きして社内預金をしていたのだ。それが満期になるのが退職金なのだ」というわけです。それなら、贅沢をしようという気にはならないでしょう。

「急に金融資産が増えた!」と思ってしまうと…

退職金が銀行に振り込まれると急に金融資産が増え、しかも金融資産のほとんどが銀行預金だ、という状況となります。以前執筆した拙稿『恐ろしい…「長生き×インフレ」で、老後資金が枯渇!? リスク回避に保有したい「インフレに強い資産」の種類』『「資産は預貯金だけ」で大丈夫?…近い将来、日本に降りかかるかもしれない「恐ろしいリスク」の正体』をお読みいただいた方などは、「預金はインフレに弱いリスク資産だから、株式投資信託を購入したほうが安心だ」と感じるかもしれません。

 

そんなときに銀行から、「支店長がご挨拶差し上げたいと申しております。ぜひ支店長室へお越しください」などと言ってくるかもしれません。銀行はだれが退職金を受け取ったかを知っているので、勧誘しやすいのです。

 

一方の退職者は支店長に丁重にもてなされて舞い上がってしまい、言われるがままに多額の投資信託を購入してしまうかもしれません。あるいは、「支店長の依頼を断っては失礼だ」と思って買う人もいるでしょう。しかし、それは必要ありません。支店長が頭をさげているのは退職者に対してではなく、退職金に対してなのですから(笑)。

 

筆者は、株式投資信託を購入すること自体を問題にしているのではありません。むしろ、銀行預金はインフレに弱いリスク資産だから、株(実際には株式投資信託)と預金を適当な割合で持つ(分散投資する)ことが望ましいと考えています。

 

ただ、株式投資信託を一度に大量に買うと、たまたまその日が株価の高い日であった場合に損をしてしまいます。そこで、毎月一定の金額を「積み立て投資」するべきだと考えています。そうすれば、高いときも安いときも買うことになるので、大儲けは狙えませんが、大損は避けられるからです。

 

そうであれば、支店長に「アドバイスありがとうございます。その金額の投資信託を購入したいと思いますが、一度に買うのではなく、48分の1の金額を4年間にわたって毎月積み立てたいと思います」といった返答すればよいでしょう。

「退職金受領後の金融資産」をイメージしよう

定年退職前は、比較的給与水準が高いサラリーマンが多いでしょうから、余った給料で老後資金として蓄えたりする人も多いでしょう。その際、銀行預金の比率を結構高くしている人も多いはずです。しかし、それでは退職金を受け取ったときに金融資産に占める銀行預金の比率が非常に高くなり、インフレに対して弱い体制になってしまいます。

 

そうした事態を避けるためにも、上記のように「退職金は社内預金の満期だ」と考えることが有益です。そうすれば、老後の金融資産のイメージが容易に掴めるからです。そうでないと、「いまの金融資産は株式投資信託に偏りすぎている」と考えて、積み立て投資をやめてしまいかねません。

 

退職金を社内預金の満期だと考えれば、「自分は多額の社内預金を持っているのだから、毎月蓄えている老後資金は株式(実際には株式投資信託)で持っていたほうがバランスがよい」と考えることができるでしょう。極端な場合、退職前日には全財産が株式投資信託でも構わないでしょう。どうせ翌日には多額の銀行預金がやってくるのですから。

 

毎月の余剰資金で住宅ローンの繰上げ返済をしている人も多いでしょうが、これも「自分は多額の社内預金を持っているので、今のままでは金融資産の分散投資ができていない。毎月の余剰資金は株式投資信託で持つことにしよう。住宅ローンは急いで返さなくても退職金で一括返済すれば大丈夫だ。どうせ金利は高くないのだから、焦ることはない」と考えるとよいでしょう。

 

本稿は以上ですが、資産運用等々は自己責任でお願いします。なお、本稿はわかりやすさを重視しているため、細部が厳密でない場合があり得ます。

 

筆者への取材、講演、原稿等のご相談は「ゴールドオンライン事務局」までお願いします。「THE GOLD ONLINE」トップページの下にある「お問い合わせ」からご連絡ください。

 

 

塚崎 公義

経済評論家

 

 

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