「トランプ関税」リスクの“修正”進む
ところで、CFTC(米商品先物取引委員会)統計の投機筋の米ドル・ポジション※は、先週にかけて買い越しが縮小しました(図表4参照)。
※ CFTC統計……ヘッジファンドの取引を反映するもの。[図表4]は円、ユーロ、英ポンド、スイスフラン、加ドルの5通貨で試算。
同買い越しは、この年末年始で過去最高に迫るほど急拡大しましたが、これこそまさに「トランプ関税」による「米金利上昇=米ドル高」リスクの織り込みが主因だった可能性があります。
この状況は、見方を変えれば“買われ過ぎ”懸念が高まっていたということもできます。つまり、「トランプ関税」に関連した取引の“行き過ぎ”懸念が高まっていた可能性がありそうです。
「トランプ関税」関連取引の代表格が、「加ドル売り」です。最近にかけて、投機筋による過去最大規模の加ドル売り越しが続きましたが、これはトランプ大統領がカナダからの輸入関税を25%に引き上げると警告してきたことが主因とみられます。
しかし、この加ドル売り越しは、先週にかけて2週連続で縮小しました(図表5参照)。これは、「トランプ関税」リスクの“反動”=修正が入った可能性を感じさせる動きです。
この見立てが正しければ、「米金利上昇=米ドル高」は限られるでしょう。「トランプ関税は警戒したほど過激ではない」といった要因に市場が過敏に反応すれば、「米金利低下=米ドル安」が広がりやすくなるかもしれません。


