トランプ氏が気にする債務上限の金利への影響は?
トランプ氏は、昨年12月末に自身のソーシャル・メディア・アカウントで、今年1月2日に上限停止の期限を迎えた債務上限問題について、バイデン政権(当時)と民主党を批判しました。債務上限問題はトランプ新政権に引き継がれます。
すでに財務省は、債務を増やさずに政府の業務を継続するための「特別措置」を開始しており、財務省が手持ちしている資金(TGA; Treasury General Account)の取り崩しや、政府職員の年金基金に充当するための国債発行の停止、為替安定化基金の再投資停止、そして税収などによって歳出に充てる資金をねん出しています。
エコノミストの見立てによれば、こうした措置によって、今年6月頃までは資金繰りが継続できるようです。
債務上限に達したということは、借り換えは別として、新規の資金調達ができなくなります。また、財務省が手持ちしている資金(TGA)の取り崩しは、流動性の純供給にあたります。
結果として、(リバース・レポ・ファシリティ残高が枯渇した後の)QTの本格稼働にも関わらず、債務上限が停止または引き上げられるまでのあいだ、長期金利には抑制圧力が生じるとみられます(TGAの直近残高:6,412億ドル vs. 1ヵ月あたりのQT:600億ドル)。
今後、半年程度、米国債の需給面による金利の大幅な上昇は避けられる可能性があるでしょう。ただし、インフレの動向や予算の動向に加えて、日本や英国など他国の債券市場の影響を受ける可能性がある点には注意が必要です。
重見 吉徳
フィデリティ・インスティテュート
首席研究員/マクロストラテジスト
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