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FRB

「次に、FRBに目を転じると、パウエル議長は12月13日のFOMCで意図的にハト派的な方向転換を行い、『長期にわたって高金利を維持する』(higher for longer)戦略を事実上放棄したと我々はみています。重要なのは、賃金の伸びが依然として5%を超え、失業率が史上最低に近い水準にある中、FRBはインフレ予想をわずかに下方修正しただけで、しかも来年と2025年のインフレ予想は目標を上回ったままであったのに、2024年中に0.75%もの利下げを示唆したという点です。

 

なぜ、FRBは、よりハト派的な反応関数への転換を示唆したのでしょうか。FRBは、特に2024年の選挙を前に、景気後退のリスクよりもインフレ再燃のリスクを冒すことを決定したと我々はみています。FRBが明確に政治的な機関であるとは思いませんが、ワシントンDCのほぼ全員が、ドナルド・トランプ氏の復活を阻止したいという気持ちで一致していると我々はみています。

 

実際、ワシントンDC(FRBスタッフの大部分が居住する場所)では、前回の選挙でバイデン氏が93%対5%で勝利しました。(中略)政治的な観点から離れると、バイデン氏が任命した(3名の)FRB理事は、最近の課題を踏まえて、よりハト派的な人事としてバランスを傾けた可能性が高いとも考えています。 

バイデン政権の金融緩和政策

このFRBの政策転換は市場にとってどのような意味を持つのでしょうか。米国債の四半期入札発表に続いて、長期の実質金利は直ちに反応し、4年先1年物の実質金利は1%近く低下しました。 この金利の低下は株式市場にも波及し、PERは上昇しました。

 

バイデン政権は、バイデノミクスを成功させるために、全力で(政策、そして景気や金融市場を)プッシュしています。彼らが成功するかどうかはわかりませんが、彼らの取り組みは米国株式市場にとって非常に強気となる流動性と経済のサポート材料を提供しています。」

 

ベッセント氏の見立てどおりだったかどうかはわかりませんが、1, 財務省による短期証券(Tビル)の発行増は(2, 昨年6月に約20年ぶりに再開された米国利付債の買い戻しプログラムとともに)長期金利の頭を押さえたでしょうし、また、3, リバース・レポ・ファシリティからの資金引き出しによってFRBの量的引き締め(QT; quantitative tightening)が一部相殺されたことや、4, 大統領選挙の直前に1%もの大幅な利下げが実行・コミットされた点を含め、これらはすべて、2024年の株式市場を下支えしたでしょう。

景気拡大の見通し

また、ベッセント氏の見立てを外挿すれば、①バイデン政権の大幅な財政赤字がもたらした債務増加や、インフレ・政策金利・市場金利の高止まり、②イエレン氏の財務省短期証券(Tビル)に偏った国債調達構造がもたらす今後数年の巨額の資金調達ニーズや、いびつな構造の解消に伴う長期債の発行増といった点は、前節のJ・D・バンス氏の懸念と重なります。

 

良い点があるとすれば、FRBが今後、引き締め方向への転換を示唆する可能性があることでしょう。それは、長期金利の上昇を抑制することで、政府債務と債券市場を支える可能性があります。ただし、金融環境の引き締まりや(前向きに検討されるべき)歳出の削減は、株式市場にとってはプラスとは言えない動向として考えておく必要があります。ただし、米国景気は(戦争や不法移民の支援といった)無駄な歳出なしでも拡大していくと考えられます。

 

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