重要なのは、「なにを買うか」ではなく「いくらで買うか」
ハワード・マークス氏は、初めて本物のバブルに触れたことで、その後の50年あまりのキャリアを支えるいくつかの原則を得ることになりました。
たとえば、
・なにを買うかではなく、いくらの価格で買うかが重要である
・いい投資とは、いいものを買うことからではなく、それがなんであっても上手に買うことから始まる
・永遠に割高になり続けるような資産はなく、逆に、永遠にバーゲンになり続けるような資産もほとんどない
といったことです。
いまでは「インターネットがない世界は想像できない」ように、未来はおそらく「人工知能(A.I.)がない世界は想像できない」といった状況が訪れるでしょう。また、訪れつつあるでしょう。
投資対象として捉える人工知能や画像処理半導体(GPU)自体は「正しい」としても、投資家として大事なのはいくらの株価でそれらの企業の株を買うかということです。
ハワード氏が指摘する「ポジティブな点」
ハワード・マークス氏の現状の見立てについて、いくつか紹介します(筆者による補足や省略が含まれますのでくれぐれもご注意ください)。
まず、ポジティブな見立てとして、次のような点を挙げます。
・今日のS&P500をリードする企業は、テクノロジー面での優位性や高い市場シェアによって平均以上の利益率を持っており、過去の最高の企業よりもはるかに優れている。
・これらの企業が提供する商品やサービスは、物質というよりもアイデアに基づいているため、追加の製品を製造・販売するための限界費用は低く、限界収益性が異常に高い。
・これらの企業のバリュエーションは、S&P500の戦後平均の2倍であるものの、ニフティ・フィフティのPERよりも低い。
・今日のS&P500をリードする企業は、信じられないほどのプレゼンスを持つ企業であるため、その高いPERは正当化される可能性がある。
・バブルの兆候である「高すぎる株価はない」と言う人は見当たらない。
・バリュエーションは高く、フロス(小さな泡)はあるが、「狂気」と形容するほどの状況にはない。