(※写真はイメージです/PIXTA)

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経験とは、「欲しいもの」の代わりに得るもの

別の著名投資家であるレイ・ダリオ氏もそうですが、ハワード・マークス氏も最初の大きな失敗の経験から、その後の「バックボーン」となる教訓を得ます。

 

彼が貴重な経験を得たのは、1960年代から70年代初頭にかけての大型成長株式相場である『ニフティ・フィフティ』(直訳すると「素晴らしい50企業」)です。

 

ニフティ・フィフティを構成する銘柄として、ニフティ・フィフティを構成する銘柄として、ゼロックス、イーストマン・コダック、ポラロイド、エイボン、テキサス・インスツルメンツ、ハリバートン、ジェネラル・エレクトリック、ダウ・ケミカル、IBM、JCペニー、ジレット、イーライリリー、アメリカン・エクスプレス、ジョンソン・エンド・ジョンソン、メルク、ファイザー、プロクター・アンド・ギャンブルなどが挙げられます。

 

[図表1]ダウ平均株価(1980年代まで)
[図表1]ダウ平均株価(1980年代まで)

 

[図表2]米国10年国債利回りとS&P500の景気循環・物価調整後の実績株価収益率(PER)
[図表2]米国10年国債利回りとS&P500の景気循環・物価調整後の実績株価収益率(PER)

 

ハワード・マークス氏の経験を引用します。

 

「私はキャリアの初めに、その後の自分を形作るような経験を得ました。私のメモ読者の多くが知っているように、私は1969年9月にファースト・ナショナル・シティ・バンク(現在のシティ)の株式調査部門に加わりました。

 

「マネー・センター・バンク」のほとんどがそうであったように、シティも主にニフティ・フィフティ、つまりアメリカでもっとも優れ、もっとも急速に成長している企業の株に投資をしました。

 

文字どおり、(a)これらの企業には悪いことはなにも起きない、(b)これらの株には高すぎる株価はないといえるほどにこれらの企業はいい、と考えられていました。

 

投資家がこれらの銘柄に魅了されたのは、3つの要因によるものです。

 

1.景気の力強い回復……第1に、米国経済は第2次世界大戦後に力強く成長していました。

 

2.新しいもの……第2に、これらの企業は、コンピューター、医薬品、消費財などのイノベーション分野に関連することで恩恵を受けました。

 

3.新しい投資スタイル……第3に、それらの株式への投資は「成長株投資」の先駆けであり、成長株式投資自体も(ニフティ・フィフティ企業と時を同じくして)流行していました。

 

ニフティ・フィフティは、(当時は1920年代以来となる)約40年ぶりのビッグバブルでした。投資家は長い間、バブルから遠ざかっていたため、それがどのようなものかを忘れていました。

 

それらの企業に集まった人気の結果として、私が仕事を始めた日にこれらの株を購入し、5年間粘り強く保有した投資家はお金の90%以上を失いました。アメリカで最高の企業への投資によってです。なにが起きたのでしょうか?

 

ニフティ・フィフティは「(花瓶が置かれるような)台座に乗せられていた」のです(=神輿の上に担がれていたのです)。

 

それらの企業の投資家はその台座からなにかが落ちると傷つきます。株式市場全体は、1973年から74年にかけて約半分に下落しました。そして、これらの株は実際には高すぎる価格で取引されていたことが明らかになりました。

 

多くの企業の株価収益率(PER)は60倍から90倍の範囲から、6倍から9倍の範囲に下落しました。これは90%を失う簡単な方法です。また、(これらの企業に対する投資家の見方や、株式のバリュエーションが変わったのみならず)いくつかの企業のファンダメンタルズ(事業環境・業績)には実際に悪いことが起きました」

 

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