「教育費、退職後資金……いくら貯めれば安心?」という問いは、多くの人が抱える悩みのひとつです。「節約しているのに不安が消えない」という声もよく耳にします。では、実際にどのくらい貯めればいいのでしょうか?ファイナンシャル・プランナーである中村芳子氏の著書『女性が28歳までに知っておきたいお金の貯め方・ふやし方』(三笠書房)より一部抜粋・編集してお届けする本連載。本記事では、人生で必要なお金を「手取り収入の15%」を目安に考え、その内訳を理由を交えて具体的に解説します。
教育費、退職後資金……いくら貯めれば安心?
お金の相談に来る人の多くが「いくら貯めたらいいのかわからない」と不安でいっぱいだ。一生懸命節約して必死で貯めているのに、安心できない。
いくら貯めたらいいか、目安を知っておけば、人生がぐんと楽になる。
答えは、手取り収入の15%。
人生の目的も背景もプランも、人によってそれぞれ。ここでは、一例としてパートナーと一緒に家庭をつくる場合を考えてみよう。人生でまとまったお金が必要になるイベントは、住まいを買うとき、子どもが大学に入学するとき、自分が退職するときの3つ。この3つに備えればいいわけだ。
まとめると、貯める目安は次のとおり。結婚カップルを前提としてるので、年収とは夫婦の合計だ。
①住宅資金=年収の1.5倍
②大学資金=子ひとりにつき年収の0.5倍、子ふたりなら年収分。
③退職後資金=年収の3倍(退職金が年収の2倍あるとき)
子どもの大学4年間にかかる費用は、進路によって500万円(自宅から国公立)~1000万円(自宅外で私立文系)。貯める額は250万~500万円。多少増減しても問題ない。子どもふたりの家庭なら、トータルで貯める額は年収の5.5倍になる。これを25歳から65歳までの40年間でつくるなら、毎年の貯金は収入の14%弱となる(550%÷40)。子どもの独立後は貯金の割合をふやせるから、それまでは15%で十分だ。スタートが25歳より遅い人は、その分少し割合をふやそう。
つまり、今貯金ゼロでも、手取り収入の10~20%を貯め続ければ、人生の必要な出費はカバーできるってこと。シングルの今も、結婚してからも、割合は同じ。
ただし、高すぎる家を買ってローンを借りすぎたり、子どもに教育費をかけすぎたりすると、退職後の資金が足りなくなる。自分の収入に見合った住まい、子の教育がポイント。無理しない。見栄を張らない。
貯金は運用するかしないかで差が出る。利回りがいいと大きなゆとりが生まれる。
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ファイナンシャル・プランナー。アルファアンドアソシエイツ代表取締役。
長崎市出身。早稲田大学商学部卒業。
メーカー勤務を経て、1985年に独立系ファイナンシャル・プランニング会社MMIに転職。日本の女性FP第1号となり、ファイナンシャル・プランニング業務全般に携わる。
91年、友人と現在の会社を設立。個人向けのライフプラン、保険見直し、家計管理、資産づくりなどのFPコンサルティング 、金融記事の執筆・監修(単行本、新聞、雑誌など)、FP・金融セミナーの講師などをおこなっている。
1990年代から雑誌や新聞で家計診断の記事を連載し、1000件以上の実績がある。FPの視点から家計診断、家計アドバイスを行う第1人者。2008年〜11年は毎月、みずほ銀行のウェブサイト「おうちのおかね」で新婚カップルの家計アドバイス記事を掲載。みずほ銀行には現在も不定期に家計アドバイス記事を提供している。女性向けのFP相談サイト「FPCafe」で2016年からWeb上のマネー相談を受けており、最も人気ある回答者と評価されている。個人向け有料相談では近年、国際結婚カップルや海外在住カップル、同性カップルの相談が増えている。
12万部のベストセラー『20代のいま、やっておくべきお金のこと』(ダイヤモンド社)や『結婚したら、やっておくべきお金のこと』など著書多数。
著者プロフィール詳細
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