次男に相続させたい
相続の相談にいらっしゃる方の多くは、「具体的に何から始めればいいのか分からない」「相続税がどれくらいかかるのか不安」といった悩みを抱えています。
今回ご紹介する 澤田健太郎さん(次男・仮名) も、まさにそのお一人でした。
澤田さんの母親は、来年80歳を迎えられる都内在住の方。ご自宅は地下1階付きの鉄筋3階建てで、1~2階に母と長男が居住、3階は賃貸に出しています。
長男の方は3級程度の障がいがあり、東京都からの支援と銀行勤務のお給料があるため、「将来の生活資金は十分確保できている」というのが、母親の判断。
健太郎さんのご家庭・ご家族の背景
まず、相続対策において最も重要なのは「家族構成」と「暮らし方」です。今回は以下のような構成でした。
・都内にお住まい。来年80歳。自宅は地下1階+地上3階建ての鉄筋造。1〜2階に母親と長男が居住、3階は賃貸中。
<長男(健太郎さんの兄)>
・障害等級3程度
・東京都の支援あり
・銀行勤務で安定収入あり
・独身で母親と同居
※将来の生活に必要な資金は十分との母親判断。
<健太郎さん(次男・相談者)>
・結婚歴あり、再婚
・前妻との間にお子様あり
・現在は別居、再婚した妻と二人暮らし
このような背景から、母親は「相続は主に健太郎さんに多く遺したい」というお気持ちをはっきりお持ちでした。
母親の資産状況(総額:約2億2,900万円)
ご相談の核心となるのが「財産内容」です。健太郎さんの母親の資産を整理すると、以下のとおりです。
| 資産区分 | 内容 | 評価額(概算) |
|---|---|---|
| 自宅土地 | 都内路線価:65万円/㎡ | 約7,475万円 |
| 自宅建物 | 地下1階+地上3階築20年 | 約1,000万円 |
| 都内アパート(土地) | 駅徒歩5分木造・8戸 | 約8,000万円 |
| 都内アパート(建物) | 賃貸用建物 | 約1,500万円 |
| 新潟県 工場用地 | 1,271㎡ | 約3,000万円 |
| 新潟県 工場建物 | 昭和33年建築 | 約100万円 |
| 預貯金 | 現金・普通預金等 | 約3,000万円 |
| 生命保険 | 死亡保険金 | 約1,000万円 |
| 合計 | 約2億2,900万円 |
一般の方から見ると「そんなにあるとは思わなかった」というケースが大変多いのですが、今回もまさにその典型です。
実は“都内の自宅”と“賃貸アパート”があると、それだけで 相続税の課税ライン(5,000万円)を軽く超える ことがほとんどです。
相続税の概算は…約4,200万円
相続人は 健太郎さんと長男のお2人。
相続税には基礎控除があり、計算式はこうなります。
3,000万円+600万円×相続人の数(2人)=4,200万円
これを差し引いて計算すると、概算の相続税額は約4,200万円。
資産2億円台のご家庭としては「標準的」といえる金額ですが、4,000万円超の相続税は決して軽い負担ではありません。
そこで必要になるのが、「合法的に評価を下げる対策」=節税プランです。
