(※写真はイメージです/PIXTA)

熟年離婚は財産分与でもめるケースが少なくありません。夫婦生活が長くなるにつれて分与すべき財産が多くなる傾向にあるため、財産を多く持っている方は大きな痛手を受けることになります。一方で専業主婦(夫)などで長年過ごしてきた方は、より多くの財産分与を受けることで離婚後も安心して生活基盤を築くことができるでしょう。そこで今回は、ココナラ法律相談(https://legal.coconala.com/)に掲載している南宜孝弁護士に、熟年離婚における財産分与の特徴や注意点、退職金、持ち家、年金を分与する方法について解説していただきました。

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「財産分与」とは?

財産分与とは、婚姻中に夫婦が共同で築いた財産を離婚時にわけ合うことです。夫婦はお互いに協力し合って生活し、夫婦としての財産を築いていきます。しかし、離婚すると夫婦は他人となるため、夫婦共有の財産は公平にわけ合わなければなりません。これを実現するための制度が財産分与です。

 

このような制度趣旨から、財産分与は離婚原因をどちらが作り出したのかとは無関係に請求できるものとされています。

 

民法768条

協議上の離婚をした者の一方は、相手方に対して財産の分与を請求することができる。

 

財産分与の対象となる財産

財産分与の対象となる財産は、婚姻中に夫婦が共同で築いた財産です。この財産のことを「共有財産」といいます。夫婦共有名義の財産だけでなく、どちらか一方の名義の財産でも、婚姻中に取得した財産は基本的に共有財産に該当することに注意が必要です。なぜなら、夫婦は協力し合って生活していることから、婚姻中に取得した財産は夫婦の協力によって取得したものといえるからです。

 

したがって、現金や預貯金、持ち家、自動車、有価証券、家財道具、退職金、年金をはじめとして、結婚後に取得したあらゆる財産が財産分与の対象となるのが原則です。ただし、夫婦の協力とは無関係にどちらか一方が取得した財産は、財産分与の対象になりません。この財産のことを特有財産といいます。

 

特有財産の例としては、結婚前から持っていた財産と、結婚後でも贈与や相続などで取得した財産が挙げられます。

 

へそくりも財産分与の対象

婚姻中に貯めたへそくりも、夫婦の共有財産として財産分与の対象となります。妻がこっそり貯めたへそくりであっても、そのお金の出所が夫の給料であれば、夫にも潜在的な持ち分が認められるからです。

 

逆に、夫が自分の給料の中からこっそり貯めたへそくりも、財産分与の対象となることに注意しましょう。夫は妻の家事や育児などの家事労働という協力によって給料を得られたのですから、そこから貯めたへそくりには妻の潜在的な持ち分が認められるのです。

 

実際にはタンス預金として貯めたへそくりなどは相手に見つからず、そのまま持っておけることもあります。しかし、公平な財産分与を実現するためには、へそくりも対象とすべきであることを覚えておきましょう。

 

財産分与の割合

財産分与の割合は、原則として2分の1ずつです。正確にいうと、財産分与は夫婦の共有財産を公平にわけ合う制度ですから、共有財産の形成・維持に貢献した度合いに応じて分与すべきです。

 

しかし、現在の日本の法律では男女平等とされていて、夫婦が共有財産の形成・維持に貢献した度合いは基本的に同じと考えられています。そのため、財産分与の割合は2分の1ずつが原則とされています。ただし、夫婦の話し合いによって双方が合意すれば、財産分与の割合を自由に決めることが可能です。

 

専業主婦でも均等の割合に

妻が専業主婦で無収入だった場合でも、財産分与の割合は2分の1ずつが原則です。夫は、妻の家事や育児などの家事労働という協力を得たからこそ、給料などで収入を得られています。そして、妻の家事労働には、夫が会社などで働く労働と同等の経済的価値があると認められています。

 

そのため、妻が専業主婦であっても、財産分与は均等の割合で行うべきなのです。ただし、夫婦の一方が医師や弁護士、大会社の経営者、スポーツ選手等で、特殊な才能や努力によって高収入を得ている場合など、共有財産の形成・維持への貢献度が明らかに異なることもあるでしょう。このようなケースでは、財産分与の割合が2分の1ずつとならないこともあります。

 

財産分与の期限

当事者間で財産分与に関する話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に審判を申し立てて決めてもらうことになります。この審判の申立期限は、離婚したときから2年以内とされています。

 

民法768条2項

前項の規定による財産の分与について、当事者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、当事者は、家庭裁判所に対して協議に代わる処分を請求することができる。ただし、離婚の時から二年を経過したときは、この限りでない。

 

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