不要な土地や役割を終えた土地は、処分するのが妥当ですが、道路がないなどの理由で売却が難しい場合があります。こうした土地は、国庫帰属制度でも救済されないため、処分に困ることになります。本記事では、相続実務士である曽根惠子氏(株式会社夢相続代表取締役)が事例をまじえて、できる対策について詳しく解説します。
雄平さんの場合 親が亡くなって相続しないといけない空き家の実家
雄平さん(63歳男性)が相談に来られたのは、父親が亡くなり、故郷の土地があるため、処分をしてきょうだいで分けたいということで、売るためにはどうすればいいかということでした。
登記簿や公図で場所確認はでき、現地の様子も確認できました。雄平さんの父親の実家は今は解体されておらず、隣接の畑も合わせると150坪の土地は雑木林となっています。建物を解体したのが3年前、父親が亡くなったのが昨年。
昨年までは父親が固定資産税を払っていましたが、今年からは相続人が負担をしなければなりません。建物を解体した結果、更地になった固定資産税は今までの6倍となりましたので、住んでもなく、使ってもいない父親の実家の土地に、年額8万円の固定資産税がかかるようになりました。
相続人は2人で、父親の不動産と預金とでは基礎控除内で相続税の申告は不要ですが、相続の仕方を決めないと相続手続きが進みません。
ネックとなるのが実家の土地で、宅地と農地は一体なのですが、雑木林の現状を見ると買い手がつきません。宅地の林の伐根伐採の費用がネックなのであれば、必要経費を雄平さんが負担することで売却を進めたいとも考え始めたということですが、それでも売れるか不明な奥まった立地のため、難航している状況です。
株式会社夢相続代表取締役
公認不動産コンサルティングマスター
相続対策専門士
京都府立大学女子短期大学卒。PHP研究所勤務後、1987年に不動産コンサルティング会社を創業。土地活用提案、賃貸管理業務を行う中で相続対策事業を開始。2001年に相続対策の専門会社として夢相続を分社。相続実務士の創始者として1万4400件の相続相談に対処。弁護士、税理士、司法書士、不動産鑑定士など相続に関わる専門家と提携し、感情面、経済面、収益面に配慮した「オーダーメード相続」を提案、サポートしている。
著書65冊累計58万部、TV・ラジオ出演127回、新聞・雑誌掲載810回、セミナー登壇578回を数える。著書に、『図解でわかる 相続発生後でも間に合う完全節税マニュアル 改訂新版』(幻冬舎メディアコンサルティング)、『図解90分でわかる!相続実務士が解決!財産を減らさない相続対策』(クロスメディア・パブリッシング)、『図解 身内が亡くなった後の手続きがすべてわかる本 2021年版 (別冊ESSE) 』(扶桑社)など多数。
◆相続対策専門士とは?◆
公益財団法人 不動産流通推進センター(旧 不動産流通近代化センター、retpc.jp) 認定資格。国土交通大臣の登録を受け、不動産コンサルティングを円滑に行うために必要な知識及び技能に関する試験に合格し、宅建取引士・不動産鑑定士・一級建築士の資格を有する者が「公認 不動産コンサルティングマスター」と認定され、そのなかから相続に関する専門コースを修了したものが「相続対策専門士」として認定されます。相続対策専門士は、顧客のニーズを把握し、ワンストップで解決に導くための提案を行います。なお、資格は1年ごとの更新制で、業務を通じて更新要件を満たす必要があります。
「相続対策専門士」は問題解決の窓口となり、弁護士、税理士の業務につなげていく役割であり、業法に抵触する職務を担当することはありません。
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