「2025年の崖」目前、IT人材不足が深刻化…“経営者の37%”が採用を検討【経営者アンケート】

「2025年の崖」目前、IT人材不足が深刻化…“経営者の37%”が採用を検討【経営者アンケート】
画像:PIXTA

中小企業でIT人材の不足が急速に進む中、経営者の採用意識にも変化が見られています。Zenkenの最新調査によると、「採用予定がある」と答えた企業は前回調査より増加し、DX推進や「2025年の崖」を背景に採用意欲が高まっています。しかし、一方で多くの経営者がこの危機を十分に認識していないという現実も。本記事では、調査結果の詳細とその背景について、Zenkenの田中志穂ダイバーシティ事業部長が解説します。

IT人材不足が加速、中小企業の採用意欲が上昇

Zenkenが中小企業の経営者を対象に調査したところ、「IT人材の採用予定がある」との回答は12%を超え、2023年2月に実施した前回調査と比べて3%ポイント上昇した。少子高齢化や企業のDX(企業のデジタルトランスフォーメーション)化などを背景にIT人材の不足は深刻化している。

 

今年は、IT人材不足と基幹システムの老朽化が同時に直面する「2025年の崖」を迎える。中小企業の経営者にとっても、システム老朽化や人材不足、生産性向上は大きな課題となっており、IT人材の採用意欲はさらに高まりそうだ。

中小企業経営者の意識調査から見える現状

調査はZenkenが全国の中小企業の経営者を対象に24年9月2~3日に実施し、200件の有効回答を得た。対象となった業種は、サービス業、製造業、建設業、不動産業、小売業、卸売業、金融・保険業など。

 

 

 

アンケートで「IT人材の採用の予定はあるか」と聞いたところ、「採用予定がある」が12.5%だった。「採用の予定はないが、検討している」は24.5%となり、前回調査と同じ比率だった。「採用の予定がある」と「検討している」を合わせた比率は37%となり、前回調査と比べて3%ポイント上昇した。

 

 

「採用の予定がある・検討している」経営者に対して、採用を希望する時期を聞いたところ、「今すぐ」の比率は17.6%と前回調査(31.6%)と比べて10%ポイント以上低下した。「3ヵ月以内」の比率も14.9%と前回調査(21.1%)より低かった。

 

一方で採用を希望する時期が「6ヵ月以内」の比率は21.6%と前回調査(15.8%)よりも高かった。「1年以内」は25.7%と前回調査(26.3%)とほぼ同じだった。前回調査では「1年以内に採用したい」とする回答の合計は約95%に達していたが、今回の調査では約8割にとどまった。

「2025年の崖」を知らない経営者、8割に達する現実

2025年は、経済産業省が18年にまとめたDXに関する報告書で「2025年の崖」と指摘した年に当たる。同省は企業のITエンジニア不足が強まるなか、老朽化した基幹システムの維持費が増える状況を「崖」に例えている。

 

今回の調査では、中小企業経営者が「2025年の崖」を「知らない」「詳しく知らない」と回答した人が8割に達しており、現状では深刻な状況を認識している経営者は少ない。しかし、今年から実際に「崖」に直面する中小企業にとっては、IT人材不足の課題はますます深刻になるとみられる。

 

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※本連載は、ジャーナリスト・日高広太郎氏編集協力のもと作成しております。

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