IT人材不足が加速、中小企業の採用意欲が上昇
Zenkenが中小企業の経営者を対象に調査したところ、「IT人材の採用予定がある」との回答は12%を超え、2023年2月に実施した前回調査と比べて3%ポイント上昇した。少子高齢化や企業のDX(企業のデジタルトランスフォーメーション)化などを背景にIT人材の不足は深刻化している。
今年は、IT人材不足と基幹システムの老朽化が同時に直面する「2025年の崖」を迎える。中小企業の経営者にとっても、システム老朽化や人材不足、生産性向上は大きな課題となっており、IT人材の採用意欲はさらに高まりそうだ。
中小企業経営者の意識調査から見える現状
調査はZenkenが全国の中小企業の経営者を対象に24年9月2~3日に実施し、200件の有効回答を得た。対象となった業種は、サービス業、製造業、建設業、不動産業、小売業、卸売業、金融・保険業など。
アンケートで「IT人材の採用の予定はあるか」と聞いたところ、「採用予定がある」が12.5%だった。「採用の予定はないが、検討している」は24.5%となり、前回調査と同じ比率だった。「採用の予定がある」と「検討している」を合わせた比率は37%となり、前回調査と比べて3%ポイント上昇した。
「採用の予定がある・検討している」経営者に対して、採用を希望する時期を聞いたところ、「今すぐ」の比率は17.6%と前回調査(31.6%)と比べて10%ポイント以上低下した。「3ヵ月以内」の比率も14.9%と前回調査(21.1%)より低かった。
一方で採用を希望する時期が「6ヵ月以内」の比率は21.6%と前回調査(15.8%)よりも高かった。「1年以内」は25.7%と前回調査(26.3%)とほぼ同じだった。前回調査では「1年以内に採用したい」とする回答の合計は約95%に達していたが、今回の調査では約8割にとどまった。
「2025年の崖」を知らない経営者、8割に達する現実
2025年は、経済産業省が18年にまとめたDXに関する報告書で「2025年の崖」と指摘した年に当たる。同省は企業のITエンジニア不足が強まるなか、老朽化した基幹システムの維持費が増える状況を「崖」に例えている。
今回の調査では、中小企業経営者が「2025年の崖」を「知らない」「詳しく知らない」と回答した人が8割に達しており、現状では深刻な状況を認識している経営者は少ない。しかし、今年から実際に「崖」に直面する中小企業にとっては、IT人材不足の課題はますます深刻になるとみられる。
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