「IT人材の賃上げを考えている」大幅に減少
Zenkenが中小企業の経営者を対象に調査したところ、「IT人材の賃上げを考えている」と回答した比率は約3割となり、2023年2月実施の前回調査時の約6割を大幅に下回った。
賃上げを考えている経営者に対して、賃上げ率を聞いたところ、「2%以上4%未満」が最も多く、「10%以上」が最も多かった前回調査とは温度差があった。前年に比べると中小企業経営者のIT人材の賃上げへの意欲は弱まっているといえそうだ。
中小企業がIT人材の賃上げに慎重な理由
調査はZenkenが全国の中小企業の経営者を対象に9月2~3日に実施し、200件の有効回答を得た。対象となった業種は、サービス業、製造業、建設業、不動産業、小売業、卸売業、金融・保険業など。
アンケートによると、「IT人材の賃上げを考えている」と回答した比率は33.5%にとどまった。前回調査は65%だった。「賃上げを考えていない」との回答は66.5%にのぼり、前回調査の35%を上回った。24年の春季労使交渉(春闘)では33年ぶりの高い賃上げ率となるなど給与の引き上げの動きが加速した。中小企業でもIT人材の給与を引き上げしただけに、今後の賃上げには慎重になっているようだ。
賃上げ検討の企業も、賃上げ率「10%以上」は激減
今回の調査では「IT人材について前年比でどの程度の賃上げ率を考えているか」との質問に対して最も多かったのは「2%以上4%未満」で37.3%。「4%以上~6%未満」が25.4%で続いた。「10%以上」との回答の比率は13.4%で、前年の30.8%から大幅に低下した。
とはいえアンケートではIT人材の賃上げ率を2%以上にする、との回答は9割超にのぼった。24年3月以降、消費者物価指数(CPI)でエネルギーと食品を除いたコア指数は前年同月比2%程度で推移している。不足しているIT人材については中小企業でも実質賃金がプラスになっていることが多いと考えられる。
連合は11月の中央委員会で、2025年の春季労使交渉(春闘)における賃上げ目標を正式決定した。基本給を上げるベースアップと定期昇給を合わせた賃上げ率は、全体で5%以上、中小企業で6%以上とした。IT人材については深刻な人手不足がなお続いており、実際の賃上げ率がどうなるかに注目が集まりそうだ。
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