IT人材の賃金は適正か? 経営者の評価は
Zenkenが中小企業の経営者を対象に調査したところ、「(自社の)IT人材の賃金と能力は見合っている」「だいたい見合っている」との回答が過半数に達した。
「IT人材の能力の高さや仕事の難易度に賃金が見合っている」と考えている経営者が多い。一方で「見合っていない」と回答した経営者からは「IT人材の能力が期待を下回っている」との厳しい声が聞かれた。
経営者の半数が「適正」と回答
調査はZenkenが全国の中小企業の経営者を対象に24年9月2~3日に実施し、200件の有効回答を得た。対象となった業種は、サービス業、製造業、建設業、不動産業、小売業、卸売業、金融・保険業など。

アンケートで「IT人材の賃金と能力は見合っていると考えているか」と聞いたところ、「見合っている」との回答が19%だった。「だいたい見合っている」の34.5%と合わせると53.5%と過半数に達した。「あまり見合っていない」は19%、「見合っていない」は27.5%だった。

「見合っている」「だいたい見合っている」と回答した人に理由を聞いたところ、「賃金が仕事の難易度に合っていると思うから」(42.1%)が最多だった(複数回答)。23年2月の調査では31%で、11ポイント以上の上昇となった。物価高を受けて、前年に大幅な賃上げを実施した企業も多く、多くの経営者がIT人材の仕事の難易度に見合った賃金になっていると考えている。
「IT人材の能力の高さに満足しており、賃金も見合っているから」が36.4%、「賃金が仕事量に見合っていると思うから」が25.2%で続いた。「キャリアや資格を踏まえた金額だから」(15%)との答えも多かった。IT関連の仕事は専門性が高く、量も多い傾向にあることから、多くの企業で比較的高い賃金が設定されていることが回答に反映されている。
IT人材の賃金、期待とのギャップに経営者の不満も

「見合っていない」「あまり見合っていない」と答えた人に理由を聞いたところ、「前職の水準に合わせて採用したから」(25.8%)との回答が最多だった(複数回答)。「IT人材の能力が期待を下回っており、賃金に見合っていないから」(23.7%)との回答がそれに続いた。大企業など賃金の高い企業からの転職者の場合、経営者が「能力が見合わない」「他の社員とのバランスを欠く」と考えることがあるようだ。
「IT人材の退職を避けるために能力以上の高い賃金を設定しているから」との回答は8.6%を占めた。「IT人材の採用が難しいため賃金を高く設定しているから」も6.5%あり、IT人材の不足を受けた経営者の苦しい実情を示した。
IT人材の賃金が適正かどうかについては、企業の事情や市場環境によって見方が分かれる。賃金を引き上げる動きがある一方で、期待する能力とのギャップを指摘する声も根強い。今後、IT人材の需要が高まり続ける中で、企業は適切な評価制度を整え、スキル向上の支援を強化することが求められる。賃金と能力のバランスをどう取るかが、企業の競争力を左右する重要な課題となりそうだ。
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