FRBが先送りしている1,600億ドル(事実上)の「債務超過」
次は公的部門の中央銀行と中央政府です。FRBも先の市中銀行と同様、有価証券の約定利回りが低く、巨額の含み損(約8,100億ドル)を抱えます。
また、FRBは、2,100億ドルの累積赤字であり、1,600億ドルの(事実上の)債務超過です。有価証券からの受取利息の金額に比べて市中銀行への支払利息の金額が上回り続けているためです。これは、中央銀行が民間銀行にお金を支払うという「公から私への利益移転のシステム」です。
不思議なのは、
1.含み損を抱える市中銀行に信用を供与し、支援の手を差し伸べている中央銀行は、支援する市中銀行よりももっと大きな含み損を抱えているという点
2.市中銀行に付利という巨額の補助金を与えんがために/与えることで、中央銀行は債務超過になっているという点
です。おかしなことが起きています。
そして、政府をみると、連邦政府債務残高(GDP比で97.3%)は、第2次世界大戦時並みです。
FRBは会計上の特殊な取扱いによって債務超過ではないふりをし、連邦政府は、かつてはFRBによる低金利政策や国債の買い入れ、最近では短期割引国債の発行増や利付国債の買い戻しなど、あの手この手で、財政悪化による金利上昇を「先送り」にしてきました。
しかし、ゴールドやビットコインといった「逃げ口」は広く開いたままであり、インフレという問題には蓋をできません。むしろ、トランプ次期大統領みずから、暗号資産(仮想通貨)を推奨されているくらいですから、ちぐはぐな印象も受けます。