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株式市場のバリュエーションも“先送り・なにもないフリ”

まだあります。問題が「先送り」されて、「なにも問題がないふり」をしているのは株式市場のバリュエーションでしょう。

 

[図表5]S&P500の予想株価収益率(PER)
[図表5]S&P500の予想株価収益率(PER)

 

金利は高止まりしていますが、バリュエーションの調整は「先送り」されており、むしろさらに割高になっています。

 

高いバリュエーションは、今後の相場調整の幅が大きくなったり、調整からの回復に時間がかかるなど、いままでの高い実績リターンに比べ、将来の期待リターンが下がるという問題を起こします。しかし、それに言及する人は少なく、多くの人が「なにも問題がないふり」をしています。

 

[図表6]S&P500のPERとその後3年間のリターン(年率) /S&P500のPERとその後10年間のリターン(年率)
[図表6]S&P500のPERとその後3年間のリターン(年率) /S&P500のPERとその後10年間のリターン(年率)

 

「なにかが起きても、中央銀行が救済してくれるだろう」との考えかもしれません。

 

たしかに、アクションとしてはそうなると思います。ただし、資産をたくさん保有する投資家はよいとしても、一般庶民はインフレという問題に直面するでしょう。また、株式インデックス投資のリターンが低下し、インフレ率を下回るといった事態も考えられます。

 

大型株式のなかでは銘柄選択がカギを握る可能性がありますし、大型株式以外の割安な株式や資産への分散投資が望まれます。

 

このように『先送り・偽り経済』はその中心に中央銀行がおり、中央銀行ができることは貨幣の発行であるため、インフレという問題が生じています。

 

『先送り・偽り』を続けた先にある「攻撃的会計」

では、次の『先送り・偽り経済』の要素はなんでしょうか。

 

これは筆者のビューというわけではありませんが、パターンで考えれば、「攻撃的会計」です。

 

企業の経営者はインセンティブのために「成長の避けられない鈍化」を先送りしようとします。このとき決算書は実態とかい離し、偽られます。期待が高いほど攻撃的会計の可能性は高まるといってよいでしょう。

 

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重見 吉徳

フィデリティ・インスティテュート

首席研究員/マクロストラテジスト

 

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