築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】
選択肢1:売却
「まとまったお金が手に入る」といった理由から、多くの人が選ぶのが「売却」です。実施にあたっては以下のような手順を踏みます。
・査定をしてもらう
・不動産会社と媒介契約を結ぶ
・売却活動と売買契約
・引渡し
・確定申告
アパートの売却では、始めに「どのくらいの金額で売れるか」を知ることが大切です。適正価格を知るために、査定は複数の不動産会社に依頼することをおすすめします。また、査定だけに頼らず、自ら近隣の相場を調べてみるのもよいでしょう。
査定後、売却を任せたい不動産会社が見つかったら売買契約を結びます。契約自体に費用は掛かりませんが、契約が成立したら不動産会社へ報酬が発生します。
契約方法は3種類あります(※報酬額に差異なし)。
・一般媒介契約:複数の不動産会社に依頼する契約方法
・専任媒介契約:1つの不動産会社に依頼する契約方法
※14日に1度以上の販売活動報告あり
・専属専任媒介契約:1つの不動産会社に依頼する契約方法
※7日に1度以上の販売活動報告あり
専任媒介契約、専属専任媒介契約は、販売活動を1社に任せることができ、かつ活動報告義務があるため、一般媒介契約よりも売却が早く成立する傾向があります。売却活動を経て買い手が見つかったら、売買契約を結び、いよいよ引渡しです。
「売却」は費用に要注意
売却にはデメリットも存在します。
たとえば「劣化した物件は希望価格で買い取ってもらいにくい」点です。アパートがきれいな状態であればそのまま売却しても売買成立につながりやすいものの、物件自体が古い場合は「リノベーション」して付加価値を付けたり、更地にしたりする必要があります。改築や解体には、数百万~数千万円の費用を要します。
そもそも、売却には以下のような支払いが発生するものです。
測量関連費用
不動産仲介手数料
印紙代
抵当権抹消費用
譲渡所得税
入居者の立ち退き料
つまり、高値で売却する一番のコツは、賃貸物件の価値を保つことだといえるでしょう。
また、ローン返済中の場合、残債額によっては売却しても代金はローンの返済にあてられ手許に資金残らない場合もあるので注意が必要です。
アパートを売却すると翌年の3月15日までに確定申告をする必要があります(※自然災害、感染症の影響で確定申告の日程が変わる場合も)。その際、売却益が生じたら「譲渡所得税」を支払わなければなりませんが、これは他の総合課税の所得と損益通算することができません。アパ-トの売却の場合、マイホームを売却した時に受けられる「3000万円特別控除」等の優遇措置がないため、注意が必要です。
選択肢2:生前贈与する
アパートを生前贈与する場合は、建物だけを贈与するケースが一般的です。もともと家賃収入を生むのは「アパートの建物」だけなので、贈与税を抑えるために、土地は贈与しないオーナーが多いのです。
建物を生前贈与する場合に検討したいのが「相続時精算課税制度」です。原則として60歳以上の父母、または祖父母から、20歳以上の子、または孫に対し、財産を贈与した場合において選択できる贈与税の制度で、控除額は2,500万円となります。
ただし、この制度を選択すると、以降の贈与に関して、すべてこの制度が適用されるようになり、「暦年課税」へ変更することはできなくなります。相続税対策としてよく知られた、「110万円までの生前贈与」は使えなくなるので、注意が必要です。
なお、建物だけを贈与した場合、土地は相続財産として遺産分割の対象になるため、遺言書に、土地はアパートを贈与した子に相続させる旨を書いておく必要があります。

