築40年の木造アパートを売却したら、突然「税務署」から“お尋ね”が届いたワケ【税理士が解説】
中古アパ-ト投資における火災保険の受取時の税金
個人経営で不動産賃貸業を営んでいる場合、火災保険で受け取った保険金は基本的に非課税となります。これは、火災保険は火災や自然災害などで受けた損害を穴埋めするものであるため、保険金の受け取りによって利益は生じないとの考えによるものです。
たとえば、建物が全損して火災保険で3,000万円を受け取り、建て直すのに2,500万円しか使わなかったとしても残りの500万円は課税対象となりません。
所得税法第9条において「保険金及び損害賠償金(これらに類するものを含む)で、心身に加えられた損害又は突発的な事故により加えられた損害に起因して取得するもの」は非課税、と定められているのです。
また、大規模な災害などの場合、公的な支援金や義援金を受け取ることもありますが、これらについても非課税となります。
ただし、同じ火災保険の保険金でも課税対象となる保険金もあります。事業者の店舗や商品が火災で焼失した場合に焼失したものの損害保険金は課税対象となるのです。
そのほかにも休業中の利益を補填するような保険金も課税対象となります。また、休業補償金や事業の経費を補填する意味合いの保険金を受け取った際は、収入として計上が必要となります。
解約返戻金があるタイプの火災保険の税金
火災保険は掛け捨てのものが一般的ですが、積立タイプの火災保険もあります。積立型の火災保険は満期がくると満期返戻金が支払われます。満期返戻金は一時所得として所得税の課税対象となります。
一方、法人で保険金を受け取った場合は、すべて事業の収入として計上しなければなりません。そのため、法人税の対象となります。
もし受け取った保険金で代替資産を購入した場合には、取得した設備について圧縮記帳という処理によって、固定資産の取得額を減額して収益と相殺し、取得年度の税負担を軽減する方法があります。
火災保険を一括払いで支払った場合において、保険契約等の見直しなどにより、途中解約した場合は解約返戻金として火災保険の残りの保険期間に応じて保険料が契約者に返還されることとなります。
しかし、原則として残りの保険期間分の保険料がすべて返還されるとは限りません。計算方法は保険会社により異なりますが、多くの場合、解約返戻金は残りの保険期間分の保険料より少ない金額で支払われます。
また、なかには解約返戻金がない商品もありますし、残りの契約金が短い場合でも解約返戻金がない商品があります。その場合は解約せず満期まで契約を続けたほうがよいこととなりますので、途中解約するには注意したほうがよいでしょう。

