(※写真はイメージです/PIXTA)

遺産放棄と相続放棄は似た言葉ですが、法的な意味は大きく異なります。相続においてそれぞれどのような役割を果たし、具体的に何が異なるのでしょうか。この違いを理解することで、予期せぬトラブルを回避することができます。本記事では、遺産放棄と相続放棄の違いと注意点について解説します。

必要書類と申述書類の提出

 

相続放棄の申述をするためには、必要書類と費用を「被相続人の最後の住所地を管轄する家庭裁判所」に提出する必要があります。


主な必要書類は以下の通りです。

 

・相続放棄申述書

 

・被相続人の住民票除票または戸籍附票

 

・申述人の戸籍謄本

 

・その他、相続人の状況に応じた戸籍謄本(配偶者、子、直系尊属、兄弟姉妹など)

 

費用:

 

・収入印紙:800円

 

・連絡用郵便切手:裁判所へ要問合せ

 

以上を揃えたら、家庭裁判所へ相続放棄の申述を行うことができます。資料集めや書類の書き方に不安がある場合には、社労士などの専門家に相談することをおすすめします。

 

照会書への対応とその重要性

 

相続放棄照会書は、申述人が本当に自分の意思で相続放棄を行っているかどうかを確認するために、家庭裁判所から送られる書類です。

 

相続放棄は、相続権を失う重大な決定です。そのため、照会書を使って、申述が本人の意思に基づいているか、また申述後に気持ちが変わっていないかを確認します。

 

家庭裁判所に相続放棄の申述を行うと、約10日後に「相続放棄照会書」と「相続放棄回答書」が自宅に送られてきます。家庭裁判所の職員名で送られてくる場合もあるので、郵便物を見逃さないよう注意しましょう。

 

相続放棄照会書は、決められた期限内に返送する必要があります。正確に回答を記入し、できるだけ早く家庭裁判所に返送してください。

 

もし、仕事の都合で長期出張などがあり、すぐに返送できない場合は、早めに家庭裁判所に連絡をしましょう。やむを得ない事情がある場合は、返送期限を過ぎても柔軟に対応してもらえることがありますので、相談してみてください。

遺産放棄の手続きの流れ

遺産放棄は、通常の相続手続きの中で進められます。基本的な流れは次のとおりです。

 

まず、亡くなった方(被相続人)が遺言書を残しているかどうかを確認します。次に、相続人や相続財産を調査し、その内容を把握します。その後、他の相続人と話し合い(遺産分割協議)を行い、最終的に遺産分割協議書を作成すれば手続きが完了します。

 

遺産分割協議書の作成と署名

 

相続人や相続財産の調査が終わったら、相続人全員で遺産分割協議を行います。

 

遺産放棄を希望する場合、この協議の場で「私は遺産を受け取りません」「私の取り分を○○さんに譲ります」といった意思を伝えます。

 

もし話し合いがまとまらない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てるのが一般的です。遺産分割調停では、裁判官や調停委員が間に入り、話し合いの解決をサポートします。

 

それでも解決しない場合は、遺産分割審判に進み、裁判官が最終的な遺産分割の方法を決定します。

 

協議が難航する場合は、弁護士に相談してみるのも一つの方法です。弁護士に依頼すれば、交渉や手続きの代行をしてもらうこともできます。

 

遺産分割協議が終了したら、合意内容を記した「遺産分割協議書」を作成し、相続人全員で署名、押印を行いましょう。協議書の作成は義務ではありませんが、口約束だけでは後でトラブルになる可能性があるため、文書として残しておくことをおすすめします。

 

遺産放棄の際の留意点

 

遺産を放棄しても、相続放棄にはならないため、被相続人が抱えていた借金などを引き継ぐ可能性があります。もし被相続人に多額の借金がある場合は、遺産放棄ではなく、相続放棄を検討することをおすすめします。

 

さらに、遺産を放棄しても相続人としての地位は変わらないため、遺産分割が終わるまでは協議に参加する必要があります。

遺産放棄と相続放棄の「期限と注意点」

ここでは、遺産放棄と相続放棄のそれぞれの期限と注意点について解説します。

手続きの期限:いつまでに行うべきか

相続放棄の期限は、相続の開始を知ってから、つまり被相続人の死亡を知ってから3ヵ月以内です。一方、遺産放棄には期限はありません。ただし、遺産分割協議後には遺産放棄ができなくなるので注意が必要です。

遺産放棄と相続放棄で期限が異なる理由

遺産放棄には期限がありません。遺産分割協議や相続分の譲渡には、基本的に決められた期限がないためです。

 

一方で、相続放棄には期限があり、自分が相続人であることを知ってから3ヵ月以内に手続きを行う必要があります。相続放棄は相続人としての地位を失うため、家庭裁判所での手続きが必要です。このルールは民法第915条で定められています。

 

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