(※写真はイメージです/PIXTA)

遺産放棄と相続放棄は似た言葉ですが、法的な意味は大きく異なります。相続においてそれぞれどのような役割を果たし、具体的に何が異なるのでしょうか。この違いを理解することで、予期せぬトラブルを回避することができます。本記事では、遺産放棄と相続放棄の違いと注意点について解説します。

債務の扱い:どちらが借金を引き継ぐか

相続放棄と遺産放棄の大きな違いは、「借金(債務)を引き継ぐかどうか」という点です。

 

相続放棄をすると、相続人としての立場そのものを放棄するため、財産だけでなく、借金などの債務も引き継ぎません。つまり、すべての相続財産や負債を受け取らないことになります。

 

一方、遺産放棄では相続人としての地位は維持されるため、遺産分割協議で財産を放棄しても、借金(債務)は相続することになります。また、協議で特定の相続人に債務を引き継がせると決めたとしても、その決定は相続人同士の合意に過ぎず、債権者に対しては通用しません。

 

このように、借金に関しては相続放棄と遺産放棄では大きな違いがあり、慎重に考えないと予期せぬトラブルに発展するおそれがあります。

法的手続きの必要性とその違い

遺産放棄は、相続人全員で行う遺産分割協議で「財産を相続しない」と意思表示し、その内容を遺産分割協議書にまとめることで完了します。

 

一方、相続放棄は相続人としての地位を失うため、家庭裁判所で手続きを行う必要があります。さらに、相続放棄には期限があり、被相続人の死亡を知った時から3ヵ月以内に手続きをしないと放棄できません。

 

遺産放棄は意思表示だけで済むのに対し、相続放棄は裁判所での手続きが必要なため、時間や手間がかかります。

遺産放棄と相続放棄の手続き方法

遺産放棄と相続放棄の手続きは、大幅に違います。それぞれについて詳しく解説します。

相続放棄の手続きの流れ

相続放棄は、以下の流れで行います。

 

1.家庭裁判所への申述手続きを行う

 

2.相続放棄照会書・回答書を受け取り、回答書に必要事項を記入して返送する

 

3.相続放棄申述受理通知書を受け取る

 

家庭裁判所への申述手続き

 

相続放棄をするには、家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出しなければ、法律上の効力が発生しません。

 

たとえば、あなたの父親が借金を残して亡くなった場合、債権者があなたに借金の返済を求めてきたとき、「相続放棄をしたから債務も相続していません」と主張しても、裁判所に正式な書類を提出していなければ、その主張は通りません。債権者からの請求を避けるためには、必ず家庭裁判所で手続きを行うことが重要です。

 

また、相続放棄の申述書を提出する家庭裁判所は、亡くなった父親の最後の住所地を管轄する裁判所になります。父親の住民票を確認して、どの住所が最後だったかを調べるとよいでしょう。

 

さらに、どの家庭裁判所が管轄するかは、裁判所のウェブサイトで確認できます。「相続の放棄の申述」ページにある「管轄裁判所を調べたい方はこちら」というリンクをクリックすれば、提出先の裁判所を簡単に見つけることができます。

 

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