7.リート
<現状>
●グローバルリート市場(米ドルベース)は、FRBによる9月の利下げ観測が高まり、米長期金利が低下したことを好感して、上昇しました。S&Pグローバルリート指数のリターンは前月末比+5.8%でした。また、円ベースのリターンは、為替効果がマイナスに寄与し、同+2.4%となりました。
●米国は、FRBによる9月の利下げ観測の高まりを受けて投資家のリスク選好姿勢が強まったことから上昇しました。欧州やアジアは、長期金利低下や米国リート上昇を好感して上昇しました。日本も、長期金利の低下や米国リートの上昇を受けて堅調に推移しました。
<見通し>
●グローバルリート市場は、米欧の中央銀行の利下げに伴い長期金利の低下が見込まれ、借り入れコストが改善することや、米景気のソフトランディングにより世界景気が底堅く推移し、賃料収入の安定推移が期待できることから、回復基調を辿ると予想します。
●米国はFRBによる利下げ開始や景気のソフトランディングを背景に緩やかな上昇を予想します。欧州はECBの追加利下げに伴う上昇を予想します。アジア・オセアニアは景気の回復基調を背景に上昇を予想します。日本はオフィス賃料の改善を背景に持ち直すと予想します。
8.まとめ
【債券】
●米国の長期金利は、債券市場における利下げの織り込みが進んでいるため、当面もみ合いを続けると想定しています。FRBは9月に利下げを開始し、その後も利下げを継続すると見込んでおり、長期金利は徐々にレンジを切り下げていく展開を予想します。
●欧州の長期金利は、ECBが四半期に一度のペースで追加利下げを行うと想定していることから、緩やかに低下する展開を予想します。
●日本の長期金利は、日銀が金融政策の正常化に向けて舵を切っていることから、追加利上げが警戒され、やや上昇すると予想します。
【株式】
●米国株式市場は、FRBによる9月利下げ開始が見込まれるなか、米景気のソフトランディングを前提とした適温相場が続くとみています。大統領選挙や地政学リスクの不透明感などから変動性が高まる局面が想定されるものの、FRBの利下げ開始や米景気のソフトランディングに伴う企業業績の拡大が見込まれるため、米国株式市場は緩やかにレンジを切り上げる展開を予想しています。
●日本株式市場は、一時大幅に調整したことによる戻り売り圧力や円高が大きく進んだことから上値が重くなった一方、日本の名目GDPや企業業績の拡大に加え、コーポレート・ガバナンス改革進展への期待や企業の自社株買いが支えとなり、当面はレンジ内で推移するとみています。市場では、9月の自民党総裁選に伴う新体制やその後の総選挙の行方、米大統領選など政治イベントが注目されそうです。
【為替】
●円の対米ドルレートは、米金利の低下に伴い、緩やかに上昇すると予想します。FRBの利下げ開始と日銀の追加利上げによる日米金利差縮小が円の上昇要因となるとみています。ただし、日銀は連続的な利上げを急がず、円の上昇余地は限られそうです。
●円の対ユーロレートは、ECBによる追加利下げと日銀の追加利上げが意識され、緩やかに上昇するとみています。
●円の対豪ドルレートは、豪州の先行きの利下げや日銀の追加利上げが意識され、緩やかに上昇するとみています。
【リート】
●グローバルリート市場は、米欧の中央銀行の利下げに伴い長期金利の低下が見込まれ、借り入れコストが改善することや、米景気のソフトランディングにより世界景気が底堅く推移し、賃料収入の安定推移が期待できることから、回復基調を辿ると予想します。
●米国はFRBによる利下げ開始や景気のソフトランディングを背景に緩やかな上昇を予想します。欧州はECBの追加利下げに伴う上昇を予想します。アジア・オセアニアは景気の回復基調を背景に上昇を予想します。日本はオフィス賃料の改善を背景に持ち直すと予想します。
石井 康之
三井住友DSアセットマネジメント株式会社
チーフリサーチストラテジスト
※上記の見通しは当資料作成時点のものであり、将来の市場環境の変動等を保証するものではありません。今後、予告なく変更する場合があります。
※当レポートの閲覧に当たっては【ご注意】をご参照ください(見当たらない場合は関連記事『「歴史的な下落幅」から急速に持ち直した日本株…今後の展開は? ~先月のマーケットの振り返りと見通し【解説:三井住友DSアセットマネジメント・チーフリサーチストラテジスト】』を参照)。