インスタ(Instagram)で投稿者は特定できる?
はじめに、インスタの匿名ユーザーを特定することができるかどうかについて解説します。
平時:厳密には特定できない
厳密には、匿名ユーザーが誰であるのか特定することはできません。
たとえば、実名で使っているほかのSNSと同じアイコンを使っていたり同じ画像を投稿したりしていた場合は、ここから投稿者が推測されることはあり得ますが、あくまでも推測であり、なりすましの可能性や偶然一致の可能性を排除できないため、特定できているとはいえません。
また、自身のスマートフォンに入っている連絡帳との連携状況によっては相手に対して「連絡先に追加されている〇〇さんがXXという名前でインスタを利用しています」などと通知され、これによって「インスタのXX=電話帳に登録している〇〇氏」であることが相手にバレることがあります。しかしこれも、電話番号が変更されている可能性等も考慮すると、厳密に特定できたとはいえないかもしれません。
権利侵害があった時:発信者情報開示請求で特定できる可能性がある
インスタで誹謗中傷などの権利侵害があった場合は、法的手段を講じることで、完全なる匿名のアカウントであっても本名や住所が特定されることがあります。
そのため、倫理的な問題はもちろん、法的措置の観点からも「匿名だから、なにを書いても法的措置はとられない」ということにはならないため注意が必要です。
インスタの投稿者を特定できる「発信者情報開示請求」とは?
インスタで誹謗中傷など権利侵害をされた場合は、発信者情報開示請求をすることで相手の特定を試みることとなります。ここでは、発信者情報開示請求の概要と、情報の開示が認められるための要件について解説します。
発信者情報開示請求の概要
発信者情報開示請求とは、インスタや投稿者が接続に使ったプロバイダに対して情報開示請求をすることで、投稿者を特定するための手続きです。それぞれから次の情報の開示を受けることで、投稿者を特定します。
1. インスタの運営者(Meta)から、IPアドレスやタイムスタンプなどの情報を入手する
2. 「1」の情報をもとに投稿者が接続に使ったプロバイダ(NTTやKDDIなど)から、プロバイダ契約者の住所や氏名などの」情報を入手する
とはいえ、任意でMetaや接続プロバイダなどに対して情報を開示するよう請求しても、開示に応じてもらえる可能性はほとんどありません。そのため、発信者情報開示請求は、裁判手続きによって行うことが一般的です。
なお、従来「1」と「2」の手続きには別の裁判手続きが必要であったものの、これにより個人の特定までに長い期間(9ヵ月程度)を要するうえ手続きの負担が重いことが問題視されていました。そこで、2022年10月にプロバイダ制限責任法が改正され、これらを一本の手続きで行える手続きが創設されています。この手続きを活用することで、投稿者の特定までにかかる期間が短くなる効果が期待できます。
ただし、新たに創設された手続きを活用することが必ずしも得策であるとは限りません。どの手続きを選択するかについても、弁護士へ相談したうえで慎重に検討するようにしてください。
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