(※写真はイメージです/PIXTA)

誰でも匿名で投稿・編集することができる、インターネットの百科事典「Wikipedia」。もし、Wikipediaで誹謗中傷の書き込みを見つけた場合、どうすれば投稿者を開示請求できるのでしょうか? 今回は、Wikipediaにおける誹謗中傷について、Authense法律事務所の弁護士が詳しく解説します。

Wikipediaの投稿に開示請求は可能?

Wikipediaとは、誰もが自由に記載したり編集したりすることができる、インターネット上の百科事典です。

 

誰もが記載できることから、ときに誹謗中傷の舞台となることもあります。特に、芸能人やインフルエンサーなどの有名人は、Wikipediaで誹謗中傷の被害に遭う可能性があるでしょう。Wikipediaで誹謗中傷がなされたら、発信者情報開示請求によって投稿者を特定できる可能性があります。投稿者が特定できれば、その者に対して損害賠償請求をしたり投稿者を刑事告訴したりすることが可能となるため、開示請求はこれらの準備段階として行うことが一般的です。

 

ただし、Wikipediaに不愉快な内容が書き込まれたからといって、必ずしも開示請求が認められるとは限りません。開示請求が認められるには、法律で保護されている権利の侵害がなされたことなど、一定の要件を満たすことが必要です。開示請求が認められるための主な要件は、後ほど詳しく解説します。

Wikipediaの投稿に開示請求をする主な要件

Wikipediaに投稿された内容が自身にとって都合が悪いからといって、すべて開示が認められるわけではありません。開示請求が認められるには、一定の要件を満たす必要があります。ここでは、情報の開示を受けるために必要となる主な要件について解説します。

 

自己の権利を侵害されたこと

1つ目は、自己の権利が侵害されたことです。インターネットを検索すると、他者が誹謗中傷されている場面を見かけることもあるでしょう。たとえば、自身が応援している有名人が誹謗中傷されている場合は、本人に代わって対処したいと考えるかもしれません。

 

しかし、自己以外の者のために開示請求をすることは認められません。なお、開示請求は自然人のみならず、自社について誹謗中傷がなされた法人が行うことも内容によっては可能です。

 

権利侵害が明らかであること

2つ目は、権利侵害が明らかであることです。投稿されている内容がたとえ不愉快な内容や自身にとって都合の悪い内容であったとしても、権利侵害が明らかでない場合には開示が認められません。一般的に、自己の名誉や信用を毀損する内容の投稿は、権利侵害であるとして開示が認められる可能性が高いでしょう。

 

ただし、情報の内容に公共性や正当性があり、かつ内容が事実である場合など、一定の場合には開示が認められない可能性があります。とはいえ、権利侵害が明らかであるといえるかどうかを自分で判断することは容易ではありません。そのため、諦めてしまう前に早期に弁護士へご相談ください。

 

正当な理由があること

3つ目は、情報の開示を請求することについて正当な理由があることです。正当な理由の代表例は、相手に対して損害賠償請求をすることや相手を刑事告訴することなどです。

 

一方で、相手を特定して脅したり、相手の情報をSNSで晒したりする目的で開示請求を行うことはできません。

 

ログの保存期間内であること

4つ目であり、開示を受けるために事実上必要となる要件は、ログの保存期間内であることです。ログは永久に保存されるわけではなく、3ヵ月から6ヵ月程度の一定期間を経過すると消されてしまうといわれています。

 

いくら権利侵害が明らかであり開示請求を認めることが相当な内容であったとしても、開示を受けるための情報をプロバイダが有していなければ、開示を受けることはできません。そのため、Wikipediaで誹謗中傷された場合の開示請求は、できるだけ早期に取り掛かることをおすすめします。

 

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