(※写真はイメージです/PIXTA)

SNS上では、肖像権にまつわるトラブルが後を絶ちません。肖像権を侵害された場合、罰則の適用などはあるのでしょうか? また、SNSで肖像権を侵害されたら、どのような手順で対応すればよいのでしょうか? 本記事では、肖像権侵害の罰則やとり得る法的措置、侵害された場合の対応などについて、Authense法律事務所の弁護士が詳しく解説します。

「肖像権」とは?

肖像権とは、簡単にいえば、承諾なしに容貌や姿態を撮影などをされない権利です。肖像権について、法令による明文規定はありません。肖像権は日本国憲法13条の「幸福追求権」から派生しており、判例で確立された権利です。

肖像権を侵害すると…

他者の肖像権を侵害した場合、罰則の適用対象となるのでしょうか? ここでは、肖像権を侵害した場合に起き得る事態をまとめて解説します。

 

肖像権の侵害に刑事上の罰則はない

肖像権は法律で明文化された権利ではなく、侵害をしても刑事上の罰則はありません。つまり、肖像権侵害をしただけでは、警察に逮捕されたり前科が付いたりすることはないということです。ただし、SNSなどでの肖像権侵害の場合、名誉毀損などとセットで行われることがあります。

 

たとえば、「この人は不倫している」などとして顔写真をSNSに投稿しても「肖像権侵害」で刑罰の対象となることはない一方で、「名誉毀損罪」として罰則の対象となる可能性はあるということです。名誉毀損罪の法定刑は、3年以下の懲役もしくは禁錮または50万円以下の罰金です(刑法230条)。

 

差止請求の対象となる

他者の肖像権を侵害した場合は、差止請求の対象となります。差止請求とは、侵害行為をやめるよう請求することです。たとえば、肖像権を侵害しているSNS投稿をやめることなどがこれに該当します。

 

損害賠償請求の対象となる

他者の肖像権を侵害すると、損害賠償請求の対象となります。損害賠償請求とは、相手の不法行為によって生じた損害(精神的苦痛)を金銭で賠償するよう、相手に対して求めることです。肖像権侵害で認められる損害賠償額は、数万円~数十万円程度であることが一般的です。

 

ただし、行為が悪質な場合や財産的な損害が生じている場合、名誉毀損などもされている場合は、さらに高額な損害賠償が認められる可能性があります。適正な損害賠償額は事案によって異なるため、まずは弁護士へのご相談をお勧めします。

 

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