(※写真はイメージです/PIXTA)

遺産分割協議は、原則として相続人全員が揃わなければ無効となります。そのため、相続人の一部が行方不明である場合、遺産分割協議を進めることはできません。本稿では、相続の手続きを進めたいが、行方不明の相続人がいる場合にどのように手続きを進めるべきかについて解説します。

音信不通や行方不明の相続人を捜索する方法

相続人が音信不通・行方不明となっている場合、調査のプロに依頼したり、ネットを利用したりして捜索が可能です。主に3つの方法があります。

(1)探偵社に依頼する

探偵社に捜索を依頼すれば、プロの経験や知識を活かし、音信不通・行方不明となっている相続人の調査が可能です。ただし調査報酬がかかります。数万円〜数十万円を依頼者が負担しなければいけません。

(2)SNSで捜索する

「X(旧Twitter)」「Facebook」等で情報提供を呼びかける方法です。捜索対象者との関係や、捜索する理由、その特徴を投稿し、SNS利用者に情報を提供してもらいます。

(3)行方不明者専用の掲示板サイトで捜索する

ネット上では行方不明者に関する複数の掲示板サイトが存在し、情報提供を呼びかけが可能です。また、警察署に捜索願を提出すれば、警察庁のサイト「行方不明者に関する情報提供のお願い」に掲載される可能性もあります。

音信不通や行方不明の相続人がいる場合はどうすればいいのか

こちらでは遺産分割協議になかなか応じない相続人、行方がわからない相続人への対処法をそれぞれ説明します。

連絡しても応答がない

相続人の住所・電話番号はわかっているが、遺産分割協議になかなか応じないケースです。この場合はメールやSNS、電話、FAX、手紙、自宅訪問を行い、参加を促します。

 

それでも応じないなら家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立てましょう。家庭裁判所は応答がない相続人に呼び出し状を送付し、調停による話し合いを促します。

住所や連絡先がわからない

「戸籍の附票」から住民票上の住所を確認できます。戸籍の附票は、戸籍に入っている家族の戸籍作成または入籍〜現在までの住所が記録された書類です。戸籍の附票は本籍地の市区町村役所で取得できます(1通300円程度)。

完全に行方不明

相続人が住民票上の住所に住んでいない、電話やメールがつながらない、誰も行方がわからないといった場合、家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任の申し立てが可能です。

 

不在者財産管理人がいれば行方不明となった相続人の代わりに、遺産分割協議に参加し、相続手続きを進められます。

行方不明になってから長期間が過ぎた

7年間にわたり行方不明の状態が続いたならば、家庭裁判所に「失踪宣告」を申し立てられます。失踪宣告後、行方不明になってから7年が経過した時点で、当該相続人は死亡したものとして相続手続きを進めます。

 

なお、戦争やクーデター、船舶の沈没、震災等に遭遇し、相続人が行方不明となった場合「特別失踪」が利用でき、危難が去った後1年経過した時点で死亡したとみなされます。

 

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※登場人物は架空です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

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