(※写真はイメージです/PIXTA)

遺産分割協議は、原則として相続人全員が揃わなければ無効となります。そのため、相続人の一部が行方不明である場合、遺産分割協議を進めることはできません。本稿では、相続の手続きを進めたいが、行方不明の相続人がいる場合にどのように手続きを進めるべきかについて解説します。

不在者財産管理人を選出する手順

不在者財産管理人を選任する手順は次の通りです。

 

1.不在者(行方不明になった相続人)の従来の住所地または居所地の家庭裁判所に、不在者財産管理人の選任申し立て

 

2.不在者財産管理人の選任後、遺産分割協議(処分行為)を行うため、家庭裁判所に権限外行為許可の申立て

 

3.権限外行為許可の審判後、遺産分割協議開始

 

なお、海外に在住する相続人が行方不明となった場合、まず外務省で「所在調査申込」を行った後、選任の申し立てを基本的に東京家庭裁判所へ申し立てます。

 

申し立ての際の必要書類は主に次の通りです。

 

・家事審判申立書・財産目録:最寄りの家庭裁判所窓口・ホームページで取得可能

 

・不在者の戸籍謄本・戸籍の附票:本籍地の市区町村役場で取得、戸籍謄本1通450円、戸籍の附票1通300円程度

 

・財産管理人候補者の住民票または戸籍附票

 

・不在の事実を証する資料:警察に提出した捜索願の受理証明書、所在調査申込の回答書等

 

・不在者の財産に関する資料:不動産登記事項証明書、通帳写し等

 

・利害関係を証明する資料:遺産分割協議のため申し立てる場合に必要、親族関係がわかる戸籍謄本等

 

・予納金:不在者財産管理人の報酬に必要な場合がある、30~50万円程度

 

・その他:収入印紙800円分、連絡用の郵便切手

失踪宣言の申立ての手続き

失踪宣告の申し立ての手順は次の通りです。

 

1.不在者の従来の住所地または居所地の家庭裁判所に、失踪宣告の申し立てを行う

 

2.家庭裁判所の調査を開始する

 

3.不在者等に官報や裁判所の掲示板で催告をする

 

4.失踪宣告の審判開始、審判が確定後、確定証明書の交付される

 

5.市区町村役場に届出:審判確定後10日以内に、申立人は不在者の本籍地または申立人の住所地の市区町村役場に失踪の届出(審判書謄本と確定証明書を添付)をする

 

申し立ての際の必要書類は主に次の通りです。

 

・家事審判申立書・財産目録:最寄りの家庭裁判所窓口・ホームページで取得可能

 

・不在者の戸籍謄本・戸籍の附票:本籍地の市区町村役場で取得、戸籍謄本1通450円、戸籍の附票1通300円程度

 

・失踪を証する資料:警察に提出した捜索願の受理証明書、所在調査申込の回答書等

 

・利害関係を証明する資料:親族関係がわかる戸籍謄本等

 

・官報公告料4,816円

 

・その他:収入印紙800円分、連絡用の郵便切手

相続人が行方不明でも相続登記はできる?

相続人が行方不明でも次のケースの場合、不在者財産管理人の選任の申し立てや失踪宣告の申し立てをしなくても、相続登記は可能です。

 

・被相続人が遺言書を作成していた

 

・法定相続分の通りに相続登記する

 

遺言書で誰が土地や建物を引き継ぐのか明記されていれば、遺産分割協議を経ずに指定された人が不動産を取得します。行方不明の相続人がいても、引き継ぐ相続人が相続登記を申請できます。

 

相続不動産を法定相続分のとおりに各相続人がそれぞれ引き継ぎ、共有名義として相続登記が可能です。ただし、行方不明の相続人がいると、不動産売却等の処分行為はできないので注意が必要です。

 

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※登場人物は架空です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

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