(※写真はイメージです/PIXTA)

遺産分割協議は、原則として相続人全員が揃わなければ無効となります。そのため、相続人の一部が行方不明である場合、遺産分割協議を進めることはできません。本稿では、相続の手続きを進めたいが、行方不明の相続人がいる場合にどのように手続きを進めるべきかについて解説します。

不在者財産管理制度と失踪宣告どちらを選択すべき?

こちらでは行方不明となった相続人がいた場合、不在者財産管理制度と失踪宣告、いずれで対応するべきか等を解説します。

行方不明になってから日が浅い場合は不在者財産管理制度

音信不通や行方不明の相続人がいる場合、完全に行方がわからなくなってから何年も経っていないなら、生存している可能性が高いです。

 

この場合は家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任の申し立てを行い、選任された不在者財産管理人が当該相続人を代理して、遺産分割協議を進めた方が良いでしょう。

 

不在者財産管理人の権限は次の通りです。

 

・不在者の財産を維持する保存行為:家屋の修繕、固定資産税の支払い、期限の到来した債務(借金)の弁済等

 

・不在者の財産の管理行為:賃貸借契約の締結、使用貸借契約の解除等

 

・不在者の財産の処分行為:遺産分割協議の同意、不動産の処分等

 

なお、不在者財産管理人が処分行為をする際、家庭裁判所に「権限外行為の許可」を申し立て、許可を得る必要があります。

行方不明になってから長期間が過ぎているなら失踪宣告

相続人が行方不明となり次のような事態であれば、失踪宣告を選びましょう。

 

・7年間にわたり行方不明の状態が続いている→普通失踪

 

・当人が戦争やクーデター、船舶の沈没、震災等に遭遇し行方不明となった→特別失踪

 

相続人が行方不明となってから1年程度しか経っていなくても、沈没事故や大規模な天災、戦争に巻き込まれた場合、死亡している可能性が高いです。この場合は特別失踪による失踪宣告の申し立てを検討しましょう。

海外に住む相続人が行方不明になった場合

不在者財産管理制度と失踪宣告、いずれかの方法で対応します。その前に外務省で「所在調査申込」を行いましょう。

 

海外に住む相続の最後の住所地ならば、所在調査申込を全て郵送手続きで行います。当該手続きは、在外公館で保有している資料により、当人の住所が判明するかどうかを書面上で確認する作業です。

 

当人が在外公館に住所・連絡先を届け出ているなら、この作業で連絡がつく場合もあります。ただし、届け出ていないと所在は判明しなかった旨の回答が郵送されます。

 

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※登場人物は架空です。プライバシーに配慮し、実際の相談内容と変えている部分があります。

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