預貯金、住宅ローン、投資…退職金の使い道は人それぞれ
中央労働委員会の「令和5年退職金、年金及び定年制事情調査」によると、令和4年度の定年退職者への平均退職金支給額は、1,878万3,000円でした。また、男性の定年退職者の平均退職金支給額については、大卒は2,139万6,000円、高卒は2,019万9,000円となっています。
この退職金の使い道については、筆者のもとへ相談にくる人や、筆者の知り合いなどと話すと、おおむね下記に大別できます。
〈退職金の使い道について〉
50%~60%……預貯金
10%~20%ずつ……住宅・マイカーローン等の返済、自宅のリフォーム、投資、旅行や趣味、生活費 など
もっとも多い使い道は「預貯金」です。続いて住宅ローンの返済や自宅のリフォーム等。そして、まとまった資金が手に入ることから、退職金で投資をはじめる人も少なくありません。
ただし、現役時代に投資経験がないままいきなり退職金の多くを投資にあてた結果、老後の生活を台無しにしてしまうという悲劇が現実に起きているのです。
父の退職祝いのため数年ぶりに帰省した拓也さん
31歳の拓也さん(仮名)は、都内でひとり暮らしをする、年収600万円のサラリーマンです。先月、父親が「65歳の誕生日&定年退職」を迎えたため、遅ればせながら祝おうと数年ぶりに帰省しました。
拓也さんの父親は現在65歳、母親は63歳。2人の生活費は、これまでは父の給与と特別支給の老齢厚生年金(月43万5,000円)で賄ってきました。
この度父が定年退職したことにより、今後は夫婦で306万円(月25万5,000円)の年金が主な収入となります。2年後に母親が65歳を迎えると、347万円(月28万9,000円)に増える見込みですが、いずれにしても、定年退職後の収入は約5分の3に減少します。
もっとも、拓也さんの父親は約2,500万円の退職金を受け取っており、定年退職の時点での貯蓄は約3,000万円ほど。貯蓄を取り崩しながら生活する分にはなんの不自由もなさそうです。しかし……。