【37年半ぶりの高値更新】再び「1ドル160円台」へ突入したが…国際金融アナリストが「近いうちに米ドル安・円高に向かう」と予想するワケ

7月の「FX投資戦略」ポイント

【37年半ぶりの高値更新】再び「1ドル160円台」へ突入したが…国際金融アナリストが「近いうちに米ドル安・円高に向かう」と予想するワケ
(※画像はイメージです/PIXTA)

4月末の高値の160円を更新し、1986年12月以来の水準まで上昇した「米ドル/円」。しかしながら、このままこの「歴史的円安」が進行するかについては、マネックス証券・チーフFXコンサルタントの吉田恒氏は疑問を呈しています。今週の相場の展開予測とあわせて、詳しく見ていきましょう。

米ドル円がこのまま上昇を続ける可能性は低い?

米ドル/円は、これまで見てきたように、約37年ぶりの高値まで上昇してきましたが、それは、2023年までとは異なり、日米金利差からは大きくかい離したものでした(図表3参照)。

 

出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成
[図表3]米ドル/円と日米10年債利回り差(2024年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

この日米金利差からかい離した、米ドル高・円安をもたらしたのは何でしょうか?

 

それについては、投機筋の円売り急増の影響がありそうでした。短期売買を行う投機筋からすると、日米10年債利回り差の「円劣位」が3%以上もあるなかでは、それが少し縮小しても、円買いには不利、円売りに有利な状況には変わりません。そして、そういった状況が長期化し、日米金利差の変化に関わらない「投機筋の円売り」が続いたことで、日米金利差からかい離した円安が広がった可能性があります。

 

以上のように、1990年の高値を更新した米ドル/円ですが、さらにどこまで広がるかを考えるうえで注目されるのは、投機的円売りがどこまで続くか、ということではないでしょうか。

 

投機筋の円ポジションは、CFTC統計の投機筋の円売り越しが、先週にかけて17.3万枚まで拡大しました。2022年4月や2006年7月に記録した18万枚程度の過去最高値に、ほぼ肩を並べたといってよいでしょう(図表45参照)。

 

出所:
[図表4]CFTC統計の投機筋の円ポジション(2022年1月~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

出所:
[図表5]CFTC統計の投機筋の円ポジション(2000年~) 出所:リフィニティブ社データよりマネックス証券が作成

 

以上のように、米ドルとそれ以外の通貨に対して、円安がさらにどれだけ続くかの鍵になる、金利差の大幅な「円劣位」を拠り所とした投機筋の円売りは、すでに過去最高規模に達した可能性があるといえます。ということは、さらなる米ドル買い・円売りにおいて、おのずと限界があると考えられます。

7月の注目点=月末に日米の金融政策決定会合

7月は、月末に日米の金融政策決定会合が予定されています。それらをにらみながら、160円台に突入した米ドル高・円安は、さらに続くことになるのでしょうか?

 

ここまで見てきたように、現在の米ドル高・円安の「主導役」と考えられる、投機筋による米ドル買い・円売りも、「行き過ぎ」懸念が強くなっている可能性があることから、さらなる米ドル高・円安も限られ、日本の通貨当局の為替介入などのきっかけ次第では、ポジション調整から、米ドル安・円高に戻す可能性も考えられます。

 

以上を踏まえ、7月の米ドル/円は、155~163円で予想します。 

 

 

吉田 恒

マネックス証券

チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長

 

※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。

 

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