米ドル円がこのまま上昇を続ける可能性は低い?
米ドル/円は、これまで見てきたように、約37年ぶりの高値まで上昇してきましたが、それは、2023年までとは異なり、日米金利差からは大きくかい離したものでした(図表3参照)。
この日米金利差からかい離した、米ドル高・円安をもたらしたのは何でしょうか?
それについては、投機筋の円売り急増の影響がありそうでした。短期売買を行う投機筋からすると、日米10年債利回り差の「円劣位」が3%以上もあるなかでは、それが少し縮小しても、円買いには不利、円売りに有利な状況には変わりません。そして、そういった状況が長期化し、日米金利差の変化に関わらない「投機筋の円売り」が続いたことで、日米金利差からかい離した円安が広がった可能性があります。
以上のように、1990年の高値を更新した米ドル/円ですが、さらにどこまで広がるかを考えるうえで注目されるのは、投機的円売りがどこまで続くか、ということではないでしょうか。
投機筋の円ポジションは、CFTC統計の投機筋の円売り越しが、先週にかけて17.3万枚まで拡大しました。2022年4月や2006年7月に記録した18万枚程度の過去最高値に、ほぼ肩を並べたといってよいでしょう(図表4、5参照)。
以上のように、米ドルとそれ以外の通貨に対して、円安がさらにどれだけ続くかの鍵になる、金利差の大幅な「円劣位」を拠り所とした投機筋の円売りは、すでに過去最高規模に達した可能性があるといえます。ということは、さらなる米ドル買い・円売りにおいて、おのずと限界があると考えられます。
7月の注目点=月末に日米の金融政策決定会合
7月は、月末に日米の金融政策決定会合が予定されています。それらをにらみながら、160円台に突入した米ドル高・円安は、さらに続くことになるのでしょうか?
ここまで見てきたように、現在の米ドル高・円安の「主導役」と考えられる、投機筋による米ドル買い・円売りも、「行き過ぎ」懸念が強くなっている可能性があることから、さらなる米ドル高・円安も限られ、日本の通貨当局の為替介入などのきっかけ次第では、ポジション調整から、米ドル安・円高に戻す可能性も考えられます。
以上を踏まえ、7月の米ドル/円は、155~163円で予想します。
吉田 恒
マネックス証券
チーフ・FXコンサルタント兼マネックス・ユニバーシティFX学長
※本連載に記載された情報に関しては万全を期していますが、内容を保証するものではありません。また、本連載の内容は筆者の個人的な見解を示したものであり、筆者が所属する機関、組織、グループ等の意見を反映したものではありません。本連載の情報を利用した結果による損害、損失についても、筆者ならびに本連載制作関係者は一切の責任を負いません。投資の判断はご自身の責任でお願いいたします。
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
注目のセミナー情報
【税金】11月27日(水)開催
~来年の手取り収入を増やす方法~
「富裕層を熟知した税理士」が考案する
2025年に向けて今やるべき『節税』×『資産形成』
【海外不動産】11月27日(水)開催
10年間「年10%」の利回り保証
Wyndham最上位クラス「DOLCE」第一期募集開始!
【事業投資】11月28日(木)開催
故障・老朽化・発電効率低下…放置している太陽光発電所をどうする!?
オムロンの手厚いサポート&最新機種の導入《投資利回り10%》継続を実現!
最後まで取りつくす《残FIT期間》収益最大化計画
2025年2月8日(土)開催!1日限りのリアルイベント
「THE GOLD ONLINE フェス 2025 @東京国際フォーラム」
来場登録受付中>>
【関連記事】
■税務調査官「出身はどちらですか?」の真意…税務調査で“やり手の調査官”が聞いてくる「3つの質問」【税理士が解説】
■月22万円もらえるはずが…65歳・元会社員夫婦「年金ルール」知らず、想定外の年金減額「何かの間違いでは?」
■「もはや無法地帯」2億円・港区の超高級タワマンで起きている異変…世帯年収2000万円の男性が〈豊洲タワマンからの転居〉を大後悔するワケ
■「NISAで1,300万円消えた…。」銀行員のアドバイスで、退職金運用を始めた“年金25万円の60代夫婦”…年金に上乗せでゆとりの老後のはずが、一転、破産危機【FPが解説】
■「銀行員の助言どおり、祖母から年100万円ずつ生前贈与を受けました」→税務調査官「これは贈与になりません」…否認されないための4つのポイント【税理士が解説】