「下手にでている」から銀行はお金を貸してくれる?
経営者と接していると、過去の経験からか、「銀行に助けてもらった」という思いを強く持っている方が結構おられます。その経験から、まさに、“銀行サマサマ病”が抜けきれず、銀行に対して、非常に慎重な発言をされます。
「貸してくれなくなったらどうするんですか!」
銀行との交渉担当役員などによくある言葉です。“下手にでているから貸してもらえている”、という思い込みがとにかく強いのです。まぁ、そのような時代を体験されてきたのでしょう。
なので、金利を下げる交渉をする、繰り上げ返済の交渉をする、借り換えの交渉をする、などという、こちらの要望を交渉しようとすると、銀行サマサマ病の担当役員は黙っていられないのです。
銀行は取引業者のひとつに過ぎず、立場は常に対等
しかし、何度も言うように、銀行が貸すか貸さないかは、格付け(スコアリング)ありきです。このような交渉をしたから貸さない、などということは、ありえません。支店に決裁権がない今、時代は変わっているのです。
格付けの良い企業に貸したいし、悪いところには貸したくない。ただそれだけです。何せ、貸す相手先がいなくて困っているのですから。で、少しでもリスクの低い企業に貸したいのです。
この迷言を使う経営者・役員は、「そんなこというけど、最後に矢面に立つのは自分なんだ」という被害者意識がどこかにあります。波風を立てたくないと思っているし、銀行ににらまれたくないのです。
今や、銀行関連業務は、交渉ありきです。ひとつの取引業者として、対等の関係なのです。特別な業者でもなんでもないのです。
銀行交渉担当者がこのようなサマサマ病であるならば、“今はそうではないんだ”という実感を少しずつでも感じてもらう経験が必要になります。で、そのことを逐一確認してあげるのです。そのような経験を重ねることによって、銀行サマサマ病から一転した担当者を、何人も見てきています。
格付け項目の経営指標が改善されているなら、交渉事を受け入れられる可能性は高くなります。「その他の仕入れ業者同様の扱いをしてもいい」「特別な取引業者ではない」ということを、理解いただくことが先決なのです。