税務調査官からのまさかの指摘
そんな日々を過ごしていたある日、税務調査がくることになりました。不動産や株も保有していたAさんの相続は手続きがいろいろと大変でしたが、Aさんは書類の管理を非常にきっちりしていたのと、妻にも情報共有をしていたので、申告に不備があるとは思いませんでした。
いまでは子供達も不動産管理を手伝ってくれるようになっていたので、子供達も税務調査の対応に協力してくれることとなり、税務調査当日を迎えました。
調査官は通帳の明細について、話をはじめます。Aさんの妻は大変驚きました。亡くなった夫名義の通帳だけではなく、妻や子供の通帳まで確認されていたのです。名義が妻や子供なのだから関係がないと思っていたのに、調査官は「これはAさんの財産ですね」と指摘し、その預金に対する追徴課税は約1,200万円にもなりました。
ずっと使ってきた妻名義の通帳の預金が相続財産とみなされたワケ
理由は下記のとおりです。
Aさんの妻は結婚をしてから仕事をしておらず、専業主婦として過ごしていました。日々の生活費はAさんから妻名義の通帳に振込をして、そのなかで必要な生活費をまかなっていました。Aさんが多忙なこともあり、その振込額はまとめてすることも多くあり、長年、そのように過ごしてきたので妻名義の預金残高も4,000万円ほどになっていました。調査官はこの預金は、夫の財産であると指摘をしたのでした。
このように亡くなられた方の名義ではないのに、相続の対象となってしまう預金のことを「名義預金」といいます。
ここで名義預金について解説をします。名義預金とは本人が存在を知らない、もしくは管理をしていない預金のことをいいます。名義預金とみなされた通帳については、たとえ名義が妻であっても、夫に相続が発生したらその夫の相続財産とみなされます。
名義預金とみなされるケースはいくつかポイントがあります。
2.預金残高が妻の所得状況と比べて不自然に多い。
3.口座の届出印が妻ではなく、夫の印鑑になっている。
4.預金が預けられたままで口座の引き落としがまったくない。
今回は上記の条件のなかでいうと、(1)はあてはまりません。しかし、その預金の原資が夫の収入によるものであるため、相続財産とみなされてしまったのでした。
Aさんの妻は思ってもみなかった状況に驚きました。それも仕方ありません。Aさんの妻はこの通帳は確かに妻の名義ですし、結婚して何十年も、この通帳を使ってきたのです。自分の通帳であり、自分の預金であるという認識でしたし、当然、節約をして日々やりくりをして、貯金ができるように努力をしてきた結果の預金だと思っていたのでした。
しかし、調査官は、結婚してから一度も働いていなかったAさんの妻の状況からみて、この預金は夫の財産であると告げます。Aさんの妻も、納得はいかないし、驚きましたが、預金の振込履歴が夫名義からの通帳からであるという状況からみても、認めざるを得ない状況となりました。
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