(※写真はイメージです/PIXTA)

どちらかが専業主婦(夫)という夫婦の場合、万が一を見据えて正しい財産の管理をしておかなければ、相続時に本来より多く課税されてしまうケースがあります。本記事ではAさん夫婦の事例とともに、夫婦の預金口座の注意点について税理士事務所エールパートナーの木戸真智子税理士が解説します。

子供が独立。これからは夫婦2人でのんびりタワマン生活のはずが…

54歳のAさんは3つ年下の妻と2人で都内のタワーマンションで暮らしていました。Aさん夫婦には2人の子供がいますが、大学卒業後はそれぞれ社会人として一人暮らしを始めました。もともとは戸建てに住んでいたのですが、子供達と一緒に住まなくなってから、そこまでの広さは必要ないのと、管理が大変なので将来のことを考えて、タワーマンションに引っ越してきたのです。周辺には複合施設も近く、一戸建てのときは定期的にしていた庭の手入れなども必要がなくなったので、管理も楽で快適に感じていました。
 

Aさんは会社員ですが、30代のころから、株式や不動産投資をするようになりました。というのも、Aさんの実家が不動産管理会社をしていたので、その影響でAさん個人も不動産投資に興味があり、親から譲り受けた不動産で投資を始めました。その後は自身で購入した不動産での賃貸経営も始め、ほかの投資にも手を広げていったのです。
 

夫が54歳という若さで急逝

そんな多忙なある日、突然、Aさんは亡くなってしまいます。会社でも執行役員として多忙な毎日を過ごしていたせいか、身体に負担がかかる日々を過ごしていたなかでの悲劇でした。

 

突然のことで、Aさんの妻も子供達も、呆然とします。

 

身内に相続が発生すると、やることは盛りだくさんです。なんとか家族で支え合いながらお葬式や相続の手続きを進めることができました。Aさんは自宅のタワーマンションに加えて、賃貸不動産や株を複数所有していたことから相続税が発生しましたが、Aさんの保険金や退職金で納税も無理なくまかなうことができました。

 

これからは夫婦2人でのんびり過ごしていこうと決めたタワーマンションもAさんの妻だけで暮らすことになりました。少し時間が経過しても、やはり思い出すのは、家族で過ごした楽しい日々。戸建てから住み替えをしたときは手狭に感じたタワーマンションも、いまでは広く感じてしまう。そんな日々を過ごしていました。

 

幸い、子供2人が近くに住んでくれていたので、定期的に様子を見に来てくれるようになり、寂しさはまぎれることもありました。

 

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