税務調査は設立5年で来る?
Aさんは都内で会社を経営して6年目、事業も順調に成長し、少しずつ経営が安定してきたことに充実感を覚えていました。
もともとコンサルタント会社勤務の経験を活かして起業したものの、当初は大変な毎日。レンタルオフィスから始まり、見込み客との面談に明け暮れ、当時はお給料もわずかで「このまま生活できるのか」という不安も。
しかし、いまではオフィスも移転して、ありがたいことに会社員時代より多く給与を受け取れるようになったのです。経営者仲間との交流も増え、Aさん自身、ようやく経営者らしくなってきたと感じていたところでした。
そんななか、経営者仲間でときどき話題になるのが、税務調査です。どうやら「会社を設立して5年ほど経つと税務調査が来る」との噂。6年目のAさんは「いつ来るのか?」とソワソワしていました。
もちろん、設立以来まったく来ていない会社もあり、「自分は来ないかも」と思っていた矢先、税務署から連絡が入りました。ところが、告げられたのは聞きなれない「法定監査(ほうていかんさ)」を実施したいという言葉。税務調査は聞いたことがありますが、法定監査は初耳です。
Aさん「税務調査ですか?」と聞き返してみたところ、税務署「いえ、税務調査ではありません。1日だけ訪問させてください」と返答されたので、Aさんは「それなら大丈夫だろう」と一安心しました。
報酬を支払う個人事業主・会社の義務である「法定調書の提出」
ここで法定監査について説明します。
個人事業主や会社がお給料や報酬を支払う場合、毎年1月末までに「法定調書」を管轄の税務署に提出する義務があります。この提出自体で税金は発生せず、あくまで「報告書」です。法定調書には、一年間に支払った給与、報酬、地代、購入した不動産など、主に「支払った内容」を記載します。
その際に作成するのが「支払調書」です。これは、給与を支払った人に源泉徴収票を渡すのと同様に、報酬や地代を支払った相手へ渡す書類で、受け取った側はそれをもとに確定申告を行います。
税務調査を録音することはできるか?
相続税の「税務調査」の実態と対処方法

