金融経済は実体経済を置き去りにする
お金をばらまいても経済が盛り上がらないのはなぜか?
お金が膨大に発行されることで、たくさんの弊害も生じた。経済は「金融経済」と「実体経済」の2つに分かれる。
私たちが魚屋さんで魚を買ったり、お店で牛丼を食べたりする世界は実体経済に区分される。
対して金融経済は、お金自体を増やしたり、それをくっつけたりふくらませたりする経済のことで、具体的にはデリバティブなどのレバレッジ商品を指す。
(デリバティブとは株式、債券、為替などの金融商品から派生した先物取引、オプション取引、スワップ取引の総称であり、レバレッジ商品とは、東証株価指数などの原指標の変動率に一定の倍数を乗じて算出される「レバレッジ型指標」に連動する商品のことである。)
お金を借りたら当然、利子や配当を払わなければならない。普通に暮らしていると実体経済にしか目が向かないが、実体経済は金融経済とつながっている。金融経済が膨張すれば、実体経済も活動の活発化を迫られる。(図表1)
しかし、お金を刷って金融経済がいくら膨張しても、実体経済の側で増えているわけではない。両者の間の乖離はますます広がり、いつかクラッシュ(財政破綻)することが目に見えている。
実体経済と金融経済の差は長い間1.4倍程度で推移していたものの、リーマン・ショック前の2006年には約3倍に広がった。ここまで実体経済と金融経済の乖離が広がると、クラッシュは不可避になる。
安倍元首相も黒田元日銀総裁も、実体経済を回すべくお金を刷った。しかし結局、実体経済の側でお金が増えることはなく、経済は破綻しようとしている。