この先、日本に“ニュートヨタ”は生まれるのだろうか? 思想家で投資家の山口揚平氏は、元プロサッカー選手の中田英寿さんの言葉を引用しながら、「イーロン・マスクを生み出すことのできたこの世界”の新しい仕組みを考えることのほうが本当は大事」と言います。本稿では、山口氏の著書『3つの世界 キャピタリズム、ヴァーチャリズム、シェアリズムで賢く生き抜くための生存戦略』(プレジデント社)より一部抜粋して、新しい世界の仕組みについて解説します。
キャピタリズムで生き残る2つの分野
果たして「ニュートヨタ」は生まれるか
過去の著書で、「企業は価値を創造するコミュニティ」だと書いたことがある。すなわち、企業には、それぞれに掲げる価値観が定まっており、その価値の創造にコミットできているかどうかが重要なのである。トヨタが自動車で日本の産業を牽引してきたように、今後は“ニュートヨタ”が生まれるのかどうかが日本にとっては最重要課題となる。
日本を代表する企業の創業は、いずれも100~200年ほど前だ。そもそもトヨタも、創業当時は一つのベンチャー企業に過ぎなかった。もし今後、次のトヨタとなるような企業が出てこなければ、日本の未来の雲行きは怪しい。
現在でも、若者たちに「プログラミングをやれ」、あるいは「英語をやれ」といったアドバイスが投げかけられることがある。ただ、それがいつ何の役に立つのかわからないのが実情だろう。むしろ、より大局的な視点から、集約される産業で自分がコミットすべき分野を戦略的に選ぶことこそ、キャリアを考えるうえでは重要である。
ブルー・マーリン・パートナーズ株式会社代表取締役
早稲田大学政治経済学部(小野梓奨学生)・東京大学大学院修士(社会情報学修士)。1999 年より大手外資系コンサルティング会社でM&A に従事し、カネボウやダイエーなどの企業再生に携わったあと、独立・起業。企業の実態を可視化するサイト「シェアーズ」を運営し、証券会社や個人投資家に情報を提供する。2010 年に同事業を売却したが、のちに再興。クリスピー・クリーム・ドーナツの日本参入、EC プラットフォームの立ち上げ(のちにDeNA 社が買収)、宇宙開発事業、電気自動車(EV)事業の創業、投資および資金調達にかかわる。専門は貨幣論、情報化社会論。
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